現在、日本には300万人近い外国籍の人たちが暮らしている。日本はすでにかなりの「移民国家」だが、彼らが労働者として人として当然の権利を保障されているかというと、残念ながらそうではないようだ。
たとえば「技能実習制度」は、ずっと安価な労働力確保のために使われてきた。時給300円で働かされ、長時間労働を強いられ、「弁護士と話さない」「恋愛禁止」「妊娠したら帰国」「携帯電話所持禁止」など人権を無視したルールを課される場合もあるという。母国の「送り出し機関」と、日本での「監理団体」がそれぞれ中間搾取するという問題もある。2018年に入管法改定がなされ翌年施行されたが、拙速に進められ、根本的な問題解決はなされていない。
在留資格のない外国人を入管施設に長期収容することなども、昨今、批判を浴びているが、本書を読むと、入管の劣悪な医療環境や、家族を引き裂く収容そのものにも、疑問を持たざるを得ない。いずれも「人権と人道」を軽視する姿勢が生み出してきたものだと著者は指摘する。移民を受け入れ、人権を尊重する国にならないと日本に未来はないことを、考えさせられる。