書評

『双子は驢馬に跨がって』(河出書房新社)

  • 2024/12/06
双子は驢馬に跨がって / 金子 薫
双子は驢馬に跨がって
  • 著者:金子 薫
  • 出版社:河出書房新社
  • 装丁:単行本(188ページ)
  • 発売日:2017-09-22
  • ISBN-10:4309026052
  • ISBN-13:978-4309026053
内容紹介:
いつ何処ともしれぬ森の中のペンション―。オーナーなる人物に監禁された父と子は、双子が驢馬に乗って助けにくるのを信じて待ち続けていた。双子が辿るであろう道のりを地図に描き物語を紡ぎあ… もっと読む
いつ何処ともしれぬ森の中のペンション―。オーナーなる人物に監禁された父と子は、双子が驢馬に乗って助けにくるのを信じて待ち続けていた。双子が辿るであろう道のりを地図に描き物語を紡ぎあげ、時に囲碁を打ちながら、父子はこの不条理の中、辛うじて精神の均衡を保っていた。いっぽう生まれつき旅と救済を宿命づけられた双子の少年少女は、驢馬ナカタニを得て旅立つが、行く先々で寄り道ばかり。畜獣の如く蹂躙されている人々がいるという噂を聞きつけ、二人は意気揚々と救出に向かうが―一通の手紙が二つの世界を繋ぐ時、眩い真実が顕れる。

自前の言葉で挑む奇想

金子薫の小説を読むと、自分が文学に接するときでさえ、いかに現実に毒されているか、はっとさせられる。言葉で織り上げる文学には固有の世界があり、私たちはその中で楽しめばいいのだという当たり前のことを再認識させられる。

父親の名前は「君子危うきに近寄らず」で、息子の名が「君子」。彼らは森の中で「みつる」と「ことみ」という双子がやってくるのを待っている。だが、双子はなかなか現れず、ようやく姿をみせたとき、父と子は別のことに気をとられている……。

奇想、と呼んで構わないだろう。現実から遠く離れた空間で、人物たちは独自のダンスを踊るかのようだ。自前の言葉で文学に挑む、大注目の作家。
双子は驢馬に跨がって / 金子 薫
双子は驢馬に跨がって
  • 著者:金子 薫
  • 出版社:河出書房新社
  • 装丁:単行本(188ページ)
  • 発売日:2017-09-22
  • ISBN-10:4309026052
  • ISBN-13:978-4309026053
内容紹介:
いつ何処ともしれぬ森の中のペンション―。オーナーなる人物に監禁された父と子は、双子が驢馬に乗って助けにくるのを信じて待ち続けていた。双子が辿るであろう道のりを地図に描き物語を紡ぎあ… もっと読む
いつ何処ともしれぬ森の中のペンション―。オーナーなる人物に監禁された父と子は、双子が驢馬に乗って助けにくるのを信じて待ち続けていた。双子が辿るであろう道のりを地図に描き物語を紡ぎあげ、時に囲碁を打ちながら、父子はこの不条理の中、辛うじて精神の均衡を保っていた。いっぽう生まれつき旅と救済を宿命づけられた双子の少年少女は、驢馬ナカタニを得て旅立つが、行く先々で寄り道ばかり。畜獣の如く蹂躙されている人々がいるという噂を聞きつけ、二人は意気揚々と救出に向かうが―一通の手紙が二つの世界を繋ぐ時、眩い真実が顕れる。

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

初出メディア

日本経済新聞

日本経済新聞 2017年10月12日

  • 週に1度お届けする書評ダイジェスト!
  • 「新しい書評のあり方」を探すALL REVIEWSのファンクラブ
関連記事
陣野 俊史の書評/解説/選評
ページトップへ