「いまは戦前」小説家と猫語る
いまは戦前だ、と語り手である小説家は書く。戦争は決して一律にやってくるのではなく、弱い者のうえにまず不幸が落ちる、と。TPPのような貪り食うものが現れ、戦争へ傾いていく……。語り手は千葉の一軒家に住む小説家。数年前、長く一緒にいた猫が死に、ずっと不調を感じてきた体調は重篤な病が原因だと知る。荒神様という猫はそんな語り手の傍らにいて、生活を見ている。猫も語る。
愛猫のために戦争を止めなければ。でもどうやって? 小説家は筆を執る。目の前の現実を描くために。
止められるかどうかよりも、止めようともしないほうが嫌。笙野さんの声に耳を傾ける。