書評

『郊外少年マリク』(集英社)

  • 2026/10/23
郊外少年マリク / マブルーク・ラシュディ
郊外少年マリク
  • 著者:マブルーク・ラシュディ
  • 翻訳:中島 さおり
  • 出版社:集英社
  • 装丁:単行本(208ページ)
  • 発売日:2012-10-26
  • ISBN-10:4087734811
  • ISBN-13:978-4087734812
内容紹介:
シャイで意地っぱりな少年の煌めく日々
パリ郊外の団地に住む移民の少年マリク。家は貧しく、学校にはいじめっ子が。大きくなるにつれて、現実はますます厳しくなるが、希望は失わない。友情や母親への思いやりを軽やかに描く。

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

人間の成長の哀歓を優しく

短く畳み掛ける文章の中に、フランスの郊外に生まれ、育ち、大人になった人間の哀歓が描かれる。『郊外少年マリク』はそんな小説だ。

主人公マリクの5歳から26歳までの半生を、マリクの視点から描く。マリクが住むのはフランスのパリ郊外。バカでかい団地が立ち並ぶ地区。

2005年の秋に起こった「暴動」以後、フランスの郊外問題は世界的に知られるようになった。格差は激しく、穴に落ち込んだような暮らしから抜け出せない人々はもがいている。

だが、人々は苦しんでばかりいるわけではない。サッカーが好きで、ボールを蹴る才能があって、女の子にはモテて、でも仕事を始めても、コネがないから突然解雇されたりするマリクには、不思議なくらい悲壮感がない。

作者のマブルーク・ラシュディ自身、郊外にいまも住み続けているという点が大きいのではないか。郊外を外から眺め、学問の対象として把握しようとする視線とはまったく違う。郊外の内側にいて、マリクの成長を書きとどめようとする筆致は、どこまでも優しい。とれたてのフランス文学。中島さおり訳。
郊外少年マリク / マブルーク・ラシュディ
郊外少年マリク
  • 著者:マブルーク・ラシュディ
  • 翻訳:中島 さおり
  • 出版社:集英社
  • 装丁:単行本(208ページ)
  • 発売日:2012-10-26
  • ISBN-10:4087734811
  • ISBN-13:978-4087734812
内容紹介:
シャイで意地っぱりな少年の煌めく日々
パリ郊外の団地に住む移民の少年マリク。家は貧しく、学校にはいじめっ子が。大きくなるにつれて、現実はますます厳しくなるが、希望は失わない。友情や母親への思いやりを軽やかに描く。

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初出メディア

日本経済新聞

日本経済新聞 2012年10月31日

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