『時のかさなり』(新潮社)

江國 香織
個人の歴史の結果としての家族優れた小説においてなら、子供というのはつねにおもしろい素材だ。なぜなら子供は、たとえどんなに大人びた子供であっ…
書評
「つめたいよるに」「神様のボート」「すいかの匂い」「東京タワー」「なかなか暮れない夏の夕暮れ」など著書多数。小説以外に、詩作、エッセイ、童話、海外絵本の翻訳も手がける。
個人の歴史の結果としての家族優れた小説においてなら、子供というのはつねにおもしろい素材だ。なぜなら子供は、たとえどんなに大人びた子供であっ…
強烈なもの、唯一無二のものタイトルに「日々」とあるとおり、これは日記のかたちで書かれたエッセイ集で、二〇〇三年の秋から二〇〇八年の冬までの…
とどめおけないものを、とどめた小説厚ぼったい本である。やさしく繊細な小説であり、きわめて美しい小説でもある。完成されていると私は思う。美し…
官能的なまでに五感の記憶を揺さぶるなんていいタイトルだろう。小さい声で、含み笑いしながら、こっそり発音したい心愉(たの)しいタイトル。 こ…
絶望的でロマンティックな独身女性の決意読みやすい文章で書かれ、わかりやすい出来事が幸不幸とりまぜて次々起こり、でも最後はきっとハッピーエン…
隠された毒、つねに蠢いている何か男の名前は晩鳥陸朗といい、女の名前は大貫知子という。男には妻と娘が、女には夫がいる。東京のはずれの、畑やら…