『時の旅人』(岩波書店)
江國 香織
二十世紀前半のロンドンに住む少女ペネロピーが、十六世紀のダービシャーに何度も滑り込んでしまうこの物語の、ためいきがでるようなおもしろさと繊…
書評
「つめたいよるに」「神様のボート」「すいかの匂い」「東京タワー」「なかなか暮れない夏の夕暮れ」など著書多数。小説以外に、詩作、エッセイ、童話、海外絵本の翻訳も手がける。
二十世紀前半のロンドンに住む少女ペネロピーが、十六世紀のダービシャーに何度も滑り込んでしまうこの物語の、ためいきがでるようなおもしろさと繊…
主人公と五里霧中を進む新鮮体験とてもいきのいい小説だった。つかまえたばかりの魚みたいで、読み終っても胸の内でつぴつぴ跳ねる。語り手の「俺」…
他人の孤独を目撃し、深い余韻フランスの山がちな地方都市(空気はすばらしく澄んでいそうだが、かなり淋しく荒々しそうな土地)で、一人の女性が行…
感情ではなく感覚を伝える凄まじさ古いものを持ちだして奇妙だと思われるかもしれないが、カポーティの『ティファニーで朝食を』とか、有島武郎の『…
昭和の大作家たちの熱愛ぶり昭和のある時期の文学や演劇の関係者(あるいはその愛好者)にとって、ハムレットが悩める青年の代名詞だったらしいこと…
国際色豊かな経験が裏打ちひさしぶりに魅力溢(あふ)れる男性探偵主人公に出会った。かつて、探偵小説といえばハードボイルドな男性探偵が主人公だ…