(1928-2015年)東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。フランス文学者、小説家、エッセイスト。元一橋大学教授。小説に『京子変幻』『越境者の祭り』『東京譚』、評論に『辰野隆 日仏の円形広場』『三島由紀夫・昭和の迷宮』『太宰治 変身譚』、エッセイに『私設・東京オペラ』などがある。ジョルジュ・バタイユやシオラ…もっと読む
出口 裕弘の書評/解説/選評一覧
- 『胡桃の中の世界』(河出書房新社)出口 裕弘
「奇想」の世界の見聞記 好きなものだけを語るという熱烈なわがまま刊行者はこの本に「奇想の博物誌」という別名を付している。十年前の澁澤氏の旧…
書評 - 『澁澤・三島・六十年代』(リブロポート)出口 裕弘
情勢論を抜け出た醒めた精神五十を過ぎてからの澁澤龍彦は、一九六〇年代のことを語りたがらなかった。サド裁判当時の反社会性が旗じるしだった彼の…
書評 - 『悪魔のいる文学史―神秘家と狂詩人』(中央公論新社)出口 裕弘
やはりサドが光る 筆に沈潜の色にじむアンドレ・ブルトンの『通底器』を読む人は多くても、その冒頭に出てくるエルヴェ・ド・サン・ドニ公爵の著書…
書評 - 『いつか王子駅で』(新潮社)出口 裕弘
映像ものに市場を制圧されてしまったせいだろう、世に広く出回っている小説の文章は日を追って目が荒くなりつつある。中で、まだ三十代の堀江敏幸は…
書評 - 『世界認識の臨界へ』(深夜叢書社)出口 裕弘
湾岸戦争が始まった。どう思うか。臓器移植が緊急課題となっている。どう考えるか。高度資本主義がいよいよ加速している。われわれはこれにどう向き…
書評 - 『ラ・ロシュフーコー公爵傳説』(集英社)出口 裕弘
陰謀と裏切りを語る”利己的な遺伝子(セルフィッシュ・ジーン)”という言葉が流行し、定着した。二十世紀も末になって登場した科学用語である。十七世…
書評 - 『澁澤龍彦の少年世界』(集英社)出口 裕弘
作風に見えぬ楽園 妹が語る没後十年、澁澤龍彦はとうとう実の妹さんのペンで、幼年期、少年期を語られることになった。五十歳を過ぎてから、彼は、…
書評 - 『バタイユ―消尽』(講談社)出口 裕弘
”無効な消費”の美しさ読む異端の思想家ジョルジュ・バタイユの、きわめて正統的な研究書が出た。著者の湯浅氏は、評者のように三十年も昔『有罪者』…
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