ボルヘスとの対話
- 著者:柳瀬 尚紀,リチャード バーキン
- 出版社:晶文社
- 装丁:単行本(231ページ)
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そうして私たちは話しはじめた。十五分とたたないうちに、私たちはフォークナー、ホイットマン、メルヴィル、カフカ、ヘンリー・ジェイムズ、ドストエフスキー、そしてショーペンハウアーの話をしていた。(柳瀬尚紀訳)
私が好む作家はジョージ・バーナード・ショウです。彼とそれ以外の著名な現代作家の違いは、おそらく彼が英雄的な感覚を備えた唯一の作家であることだと思う。他の作家たちは、私が大いに感服しているウィリアム・フォークナーのように、下劣な状況や悪魔的環境を専門にしているようです。(J.M.プリエト編『ホルヘ・ルイス・ボルヘスの英知』※未訳)
私はコルタサルのある短篇をアルゼンチンで初めて認めたエディターであるという名誉を得ました……。彼のその後の作品もいくつか読みました。でも、短篇を中程から語り始めるといった類の不快な遊戯には魅力を感じません。それはすべてフォークナーの模倣だからです。しかも、非凡な人物であるフォークナー自身の作品においてすらその種のことは不快なのですから。(『ホルヘ・ルイス・ボルヘスの英知』)
フォークナーは農場主になることに固執し、自分は作家ではないと言っていた。彼を知った私の友人が、フォークナーは馬の話をしたがったと私に語った。そのとき私は心の中でこう思った。「変った人だ、私は馬のことは何も知らない、興味があるのは文学なのだ」と。(一九八四)(C.R.ストルティニ編『ボルヘス辞典』)(ALL REVIEWS事務局注:当該書籍確認できず)
語り手は「決して」我々にすべてを語らず、しばしば我々を惑わす。すなわち、ある登場人物が行なうことは明示するが、考えていることは明示しない(たとえば、ポパイの私生活を明らかにはしない)か、あるいはその逆であり、予め我々に知らせることなく身振りや行為、思考を飛び越えてしまう。そして、後になって、消えたハンカチを突然取り出して見せる手品師のように、びっくりするような方法でそれらを示して見せるのだ。