書評

『じぶんでひらく絵本』(文化出版局)

  • 2017/09/13
じぶんでひらく絵本 〈全4冊〉 / H.A.レイ
じぶんでひらく絵本 〈全4冊〉
  • 著者:H.A.レイ
  • 翻訳:石竹 光江
  • 出版社:文化出版局
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(4ページ)
  • 発売日:1991-10-01
  • ISBN-10:4579403118
  • ISBN-13:978-4579403110
内容紹介:
『おさるのジョージ』の原作としても知られるロングセラー『ひとまねこざる』の作者H.A.レイの幼児向け傑作絵本です。各ページが折返しになっていて、その折返しをひらくと……! 子どもの心をと… もっと読む
『おさるのジョージ』の原作としても知られるロングセラー『ひとまねこざる』の作者H.A.レイの幼児向け傑作絵本です。各ページが折返しになっていて、その折返しをひらくと……! 子どもの心をとらえる楽しい驚きがかくされています。4冊が1つの箱に入ってセットになっていますが、1冊1冊は小さくて軽いので、お子さんが自分でもページを開けます。めくって楽しい仕掛け絵本です。

全4冊ケース入り(分売不可)
1 『おかあさんとこども』 うま、にわとり、うし、いぬ、ねこ、あひる…。どうぶつのおかあさんのそばにはいつもこどもたちが…!
2 『さあたべようね』 どうぶつえんにはどうぶつがいっぱい。これからしいくいんのおじさんがどうぶつたちにおひるごはんをあげるところです。
3 『だれのうちかな』 いろいろなもののいろいろなおうち。このおうちにすんでいるのはだれかな?
4 『サーカスをみよう』 たのしいサーカスをみにいこう。サーカスにでてくるのはいったいだあれ?

遠出のおともに

子どもを連れて遠出するとき、バッグには必ず二種類の絵本を入れてゆく。

一つは、日ごろ慣れ親しんでいる絵本。夜、いつもと違った環境で寝るときなどには、これがあると安心できるようだ。

そしてもう一つは、初めての絵本。レストランや乗り物のなかで、ぐずったり、騒(さわ)いだりしたときに、「これは何かな~?」と気をひくときに登場させる。

前者は決まったものだから迷うこともないが、後者を選ぶのは、けっこう大変だ。気に入るか、気に入らないか、事前に試してみることができない(やはり「初めて見る」というところが肝心なので)。

じっくりストーリーを追うものよりも、多少しかけのあるタイプのほうが、即効性があるようだ。これまでに、うまくいった例をいくつかあげてみると……。

『メイシーちゃん おたのしみひろばへゆきます』(ルーシー・カズンズ作、五味太郎訳、借成社・一四七〇円)。ページごとに公園の場面が現れて、矢印をひっぱると、ブランコが揺れたり池のアヒルが姿を見せたりする。日ごろ、『メイシーちゃんのおうち』(ルーシー・カズンズ作、五味太郎訳、借成社・一九九五円・絶版)という組み立て絵本で、よく遊んでいたので、息子はとても喜んだ。お気に入りの絵本がシリーズで出ている場合、その中の新しい一冊を選ぶのも、いい方法だと思う。キャラクターに親しみがあると、子どもが入っていきやすい。

『アンパンマンとシールであそぼう! たべものいっぱい』(やなせたかし原作、東京ムービー作画、フレーベル館・七一四円)は、ピクニックやレストランの場面で、食べ物のシールを貼っていくのが、楽しい。子どもって、ほんとうにシールが大好きな時期があるので、そういう時にはもってこいの本だ。

そして、私がおすすめする「遠出のおとも」ベストワンは『じぶんでひらく絵本』という四冊セットのしかけ絵本だ。

たとえば一冊目の『おかあさんとこども』は、すべての右ページに動物のおかあさんが描かれていて、折り返しを開くと、子どもが現れる。単純な仕組みなのだけど、折り返しを開いたときの絵のつながり具合が、素晴らしい。左ページには語りかけの言葉があるのだが、それを聞くのももどかしいという感じで、息子は夢中になってめくっていた。自分でめくれるのが楽しいし、絵の変化が本当に素敵で味わい深いのだ。

他の三冊も、それぞれにこのシンプルなしかけが、最大限に生かされた絵づくりになっている。

もちろんこれらは、遠出しない人にもおすすめで、息子も長いあいだ愛読していた、が、初めて見せてやるなら、遠出の切り札に、と私がしつこく思う理由は、もう一つ。このシリーズは、とてもコンパクトで軽い! 荷物の多い子連れには、まことにありがたい絵本なのです。

  連休に乗る新幹線 子を持てば典型を
  生きることの増えゆく

【この書評が収録されている書籍】
かーかん、はあい 子どもと本と私 / 俵万智
かーかん、はあい 子どもと本と私
  • 著者:俵万智
  • 出版社:朝日新聞出版
  • 装丁:文庫(224ページ)
  • 発売日:2012-05-08
  • ISBN-10:4022646667
  • ISBN-13:978-4022646668
内容紹介:
6歳になった今も、息子は絵本を持って母のもとへやってくる――。子育てをする歌人が、子どものために選び、自身も心を揺り動かされた絵本48冊を紹介したエッセイ。母親世代にも懐かしい不朽の名… もっと読む
6歳になった今も、息子は絵本を持って母のもとへやってくる――。子育てをする歌人が、子どものために選び、自身も心を揺り動かされた絵本48冊を紹介したエッセイ。母親世代にも懐かしい不朽の名作から、図鑑、ことば遊び、シュールなものまで、幅広く選んでいる。成長に応じた絵本探しの参考として、また母と子のあたたかな交流を描いた本として楽しい一冊。単行本全2巻を1冊にまとめて文庫化。

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じぶんでひらく絵本 〈全4冊〉 / H.A.レイ
じぶんでひらく絵本 〈全4冊〉
  • 著者:H.A.レイ
  • 翻訳:石竹 光江
  • 出版社:文化出版局
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(4ページ)
  • 発売日:1991-10-01
  • ISBN-10:4579403118
  • ISBN-13:978-4579403110
内容紹介:
『おさるのジョージ』の原作としても知られるロングセラー『ひとまねこざる』の作者H.A.レイの幼児向け傑作絵本です。各ページが折返しになっていて、その折返しをひらくと……! 子どもの心をと… もっと読む
『おさるのジョージ』の原作としても知られるロングセラー『ひとまねこざる』の作者H.A.レイの幼児向け傑作絵本です。各ページが折返しになっていて、その折返しをひらくと……! 子どもの心をとらえる楽しい驚きがかくされています。4冊が1つの箱に入ってセットになっていますが、1冊1冊は小さくて軽いので、お子さんが自分でもページを開けます。めくって楽しい仕掛け絵本です。

全4冊ケース入り(分売不可)
1 『おかあさんとこども』 うま、にわとり、うし、いぬ、ねこ、あひる…。どうぶつのおかあさんのそばにはいつもこどもたちが…!
2 『さあたべようね』 どうぶつえんにはどうぶつがいっぱい。これからしいくいんのおじさんがどうぶつたちにおひるごはんをあげるところです。
3 『だれのうちかな』 いろいろなもののいろいろなおうち。このおうちにすんでいるのはだれかな?
4 『サーカスをみよう』 たのしいサーカスをみにいこう。サーカスにでてくるのはいったいだあれ?

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2006年5月25日

朝日新聞デジタルは朝日新聞のニュースサイトです。政治、経済、社会、国際、スポーツ、カルチャー、サイエンスなどの速報ニュースに加え、教育、医療、環境、ファッション、車などの話題や写真も。2012年にアサヒ・コムからブランド名を変更しました。

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