書評

『のぼうの城』(小学館)

  • 2017/11/12
のぼうの城 上 (小学館文庫) / 和田 竜
のぼうの城 上 (小学館文庫)
  • 著者:和田 竜
  • 出版社:小学館
  • 装丁:文庫(219ページ)
  • 発売日:2010-10-11
  • ISBN:4094085513

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役立たずなのに、人気者。冴(さ)えないのに、問題解決の立役者。戦国時代、現在の埼玉県行田市に、そんな武将がいたという。忍城(おしじょう)の成田長親(ながちか)。本書は長親率いる武者たちが、石田三成の水攻めに屈しなかったエピソードを小説化。

もともとはシナリオだった。著者は、03年に同じ内容の「忍ぶの城」で脚本界の新人賞、城戸賞を受賞。映画化の話が持ち上がり、先に小説にしてはどうかとプロデューサーが小学館の編集者、石川和男さんに持ちかけ、著者自身が小説化することに。「史実を踏まえながらも、キャラクターの作り方、場面の切り替え方などが一級のエンターテインメントになっている。時代小説好きはもちろん、はじめてという読者にもアピールすると思った」と石川さん。

表紙の装画は人気漫画家のオノ・ナツメさんに依頼。刊行前から、ダイジェスト版を読んだ書店員から熱烈な感想が届いた。書籍宣伝課の備前島幹人さんは「埼玉出身の一人として、地元にこんなヒーローがいたのか、とうれしくなりました(笑い)。県内の各書店にお話ししたところ、刊行直後から大々的に展開していただくことができ、月間1位を獲得した書店も」。

当初の読者は時代小説ファンの40代男性、オノ・ナツメさんファンの20、30代の女性が多かった。その後、各メディアで紹介されて認知度を高め、現在は幅広い層に読まれている。

賢者なのか愚者なのか、判断がつかない長親はもちろん、他の登場人物も生き生きとして魅力的。合戦も「血で血を洗う闘い」ではなく、敵への敬意を忘れず、まるで一種のスポーツのよう。読後感は、爽(さわ)やかだ。
のぼうの城 上 (小学館文庫) / 和田 竜
のぼうの城 上 (小学館文庫)
  • 著者:和田 竜
  • 出版社:小学館
  • 装丁:文庫(219ページ)
  • 発売日:2010-10-11
  • ISBN:4094085513

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2008年6月22日

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