『からだにおいしい 野菜の便利帳』(高橋書店)

野菜ってこんなに“可愛い”ものなのか。本書の写真を眺めていると、そう思えてくる。スーパーで入手しやすい野菜、穀物、海藻など100種類以上を掲載。産地、旬、栄養成分はもちろん、選び方や保存方法、レシピや雑学、安全に食べる下準備まで紹介、という充実ぶり。

「食の安全性への意識やメタボ対策などで野菜が注目されている中、効能からレシピまで網羅されている野菜の本は少ない。図鑑でありつつ毎日の料理にも役立ち、さらに読んで楽しめるものを作ろうと思いました」と担当編集者の小元慎吾さん。どのような情報が求められているか街頭インタビューで調査、写真にもこだわった。旬の新鮮な食材を集めたため撮影は1年がかり。大根一本の太さにも気を使い、葉のついたニンジン、湯通しする前のワカメなど、食材そのままの姿を紹介。中身が分かる断面図もあり、眺めていて飽きず、食欲もわく。

今年の4月に刊行、発売日に完売した書店も。紀伊国屋書店新宿本店が店頭のワゴンに並べたところ好評で、他の店舗でも大きく展開するようになった。

読者層のメーンは主婦や20代女性だが、調理師免許取得を目指す男性や、飲食店関係者も多い模様。戻ってくる読者はがきでは「情報量に満足」という感想が圧倒的で、「デザインがキレイ」「病気をして食生活に気を使っているので助かる」「野菜が好きになった」という声も多い。

フルカラーの贅沢（ぜいたく）な内容でありながら、1365円と値段も良心的。「日々、安くて新鮮な野菜を探している方たちのための本ですから、値ごろ感を出したかった」と小元さん。この心意気が、なんともうれしい。