書評

『日本人の愛したお菓子たち 明治から現代へ』(講談社)

  • 2024/05/30
日本人の愛したお菓子たち 明治から現代へ / 吉田 菊次郎
日本人の愛したお菓子たち 明治から現代へ
  • 著者:吉田 菊次郎
  • 出版社:講談社
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(448ページ)
  • 発売日:2023-03-09
  • ISBN-10:4065314305
  • ISBN-13:978-4065314302
内容紹介:
【すべてのお菓子の写真をカラーで収録!】甘くておいしい「スイートポテト」。いつ頃誕生したのか知っていますか? その原型ができあがったのは明治時代。文明開化で一気に流れ込んだ洋風の文… もっと読む
【すべてのお菓子の写真をカラーで収録!】
甘くておいしい「スイートポテト」。いつ頃誕生したのか知っていますか? その原型ができあがったのは明治時代。文明開化で一気に流れ込んだ洋風の文化はお菓子にもしっかり影響を与え、和の素材サツマイモを使って洋風の技術を取り入れて出来上がったのが「スイートポテト」でした。
永遠のテーマ「あなたはきのこ派? たけのこ派?」でおなじみの「きのこの山」と「たけのこの里」。「きのこの山」誕生のきっかけは既に発売されていた「アポロ」の製造ラインを有効活用しようとした試作品でした。チョコスナックの時代を切り開き大ヒットした両者も90年代後半になると売り上げに陰りがみえはじめましたが、ライバル関係をあおった「きのこの山・たけのこの里総選挙」キャンペーンで意図的に注目をあつめ人気の回復に成功しました。
明治時代の洋菓子との出会いからスナック菓子、駄菓子やアイス類にマリトッツォといった現代のスイーツを網羅し、お菓子の誕生ストーリーや時代背景をつづります。私たちが歩んできた日本の文化史としても楽しめる一冊。
2023年、50周年を迎える名店「ブールミッシュ」。創業者の吉田菊次郎は戦後の製菓業界の第一線を走り抜けてきました。お菓子の生き字引ともいえる著者が、明治から現代までに流行してきたお菓子を紹介します。初めておこづかいで買った駄菓子、教室で友人と食べたスナック、どの世代の読者にもエモいお菓子がここにはあります。

【本書の内容】
第I部 戦 前
1 明 治──世界への仲間入り
2 大 正──大企業の確立期
3 終戦へ(昭和前期)──お菓子産業受難の時代

第II部 昭 和
4 昭和20年代──子供たちの夢を叶えるお菓子たち
5 昭和30年代──お菓子の持つハピネスを求めて
6 昭和40年代──若手パティシエ飛翔・スイーツ界に新風
7 昭和50年代──フランス菓子一辺倒からの脱却
8 昭和の終焉──スイーツのジャンルを次々網羅

第III部 現 代
9 1990年代──スイーツ文化の国際化&次々登場の流行菓
10 2000年代──スイーツ界も安心安全
11 2010年代──お菓子もフォトジェニックに!
12 今のお菓子たち
「洋菓子」が本格的に入ってきた幕末・明治から現在まで、その時代を象徴するお菓子とそれにまつわるエピソードが並ぶ。生菓子・焼き菓子を扱おうとしていたのにスナック菓子、駄菓子、キャラメル、アイスクリーム、パンにまで手が出てしまったとあるが、それが本書を楽しくしている。

最初に登場するのはシュークリーム、プディング、あんぱん、スイートポテトなど。日本人得意のアレンジを加え、今も愛されている品々だ。大正に入るとキャラメル、社会的インパクトとしては特大ホームランだとある。「おせんにキャラメル」という劇場の売り子の声が聞こえる。

昭和に入り戦争の時代は甘いものが消えていく。戦後復活の始まりもキャラメルで、昭和21年に紅梅製菓とカバヤ食品が創業と知ると、巨人軍選手のブロマイドの入った紅梅キャラメルの人気が思い出される。

その後登場するお菓子の写真が次々現れ、クリスマスやバレンタインデーを思い出し、若い頃の友だちの顔、更に時が進むと子どもの友だちの顔が浮かんでくる。帯にある「お菓子は思い出の栞」は言い得て妙だ。
日本人の愛したお菓子たち 明治から現代へ / 吉田 菊次郎
日本人の愛したお菓子たち 明治から現代へ
  • 著者:吉田 菊次郎
  • 出版社:講談社
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(448ページ)
  • 発売日:2023-03-09
  • ISBN-10:4065314305
  • ISBN-13:978-4065314302
内容紹介:
【すべてのお菓子の写真をカラーで収録!】甘くておいしい「スイートポテト」。いつ頃誕生したのか知っていますか? その原型ができあがったのは明治時代。文明開化で一気に流れ込んだ洋風の文… もっと読む
【すべてのお菓子の写真をカラーで収録!】
甘くておいしい「スイートポテト」。いつ頃誕生したのか知っていますか? その原型ができあがったのは明治時代。文明開化で一気に流れ込んだ洋風の文化はお菓子にもしっかり影響を与え、和の素材サツマイモを使って洋風の技術を取り入れて出来上がったのが「スイートポテト」でした。
永遠のテーマ「あなたはきのこ派? たけのこ派?」でおなじみの「きのこの山」と「たけのこの里」。「きのこの山」誕生のきっかけは既に発売されていた「アポロ」の製造ラインを有効活用しようとした試作品でした。チョコスナックの時代を切り開き大ヒットした両者も90年代後半になると売り上げに陰りがみえはじめましたが、ライバル関係をあおった「きのこの山・たけのこの里総選挙」キャンペーンで意図的に注目をあつめ人気の回復に成功しました。
明治時代の洋菓子との出会いからスナック菓子、駄菓子やアイス類にマリトッツォといった現代のスイーツを網羅し、お菓子の誕生ストーリーや時代背景をつづります。私たちが歩んできた日本の文化史としても楽しめる一冊。
2023年、50周年を迎える名店「ブールミッシュ」。創業者の吉田菊次郎は戦後の製菓業界の第一線を走り抜けてきました。お菓子の生き字引ともいえる著者が、明治から現代までに流行してきたお菓子を紹介します。初めておこづかいで買った駄菓子、教室で友人と食べたスナック、どの世代の読者にもエモいお菓子がここにはあります。

【本書の内容】
第I部 戦 前
1 明 治──世界への仲間入り
2 大 正──大企業の確立期
3 終戦へ(昭和前期)──お菓子産業受難の時代

第II部 昭 和
4 昭和20年代──子供たちの夢を叶えるお菓子たち
5 昭和30年代──お菓子の持つハピネスを求めて
6 昭和40年代──若手パティシエ飛翔・スイーツ界に新風
7 昭和50年代──フランス菓子一辺倒からの脱却
8 昭和の終焉──スイーツのジャンルを次々網羅

第III部 現 代
9 1990年代──スイーツ文化の国際化&次々登場の流行菓
10 2000年代──スイーツ界も安心安全
11 2010年代──お菓子もフォトジェニックに!
12 今のお菓子たち

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2023年4月1日

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