書評

『日本列島四万年のディープヒストリー 先史考古学からみた現代』(朝日新聞出版)

  • 2025/02/06
日本列島四万年のディープヒストリー 先史考古学からみた現代 / 森先 一貴
日本列島四万年のディープヒストリー 先史考古学からみた現代
  • 著者:森先 一貴
  • 出版社:朝日新聞出版
  • 装丁:単行本(224ページ)
  • 発売日:2021-08-10
  • ISBN-10:4022631112
  • ISBN-13:978-4022631114
内容紹介:
4万年前に列島へ到来した私たちの祖先は自然とどう向き合って豊かな生活を営んだか。遊動から定住への変化にどんな戦略があったのか。先史時代の列島に暮らす人々の行動を復元し、現代の諸問題… もっと読む
4万年前に列島へ到来した私たちの祖先は自然とどう向き合って豊かな生活を営んだか。遊動から定住への変化にどんな戦略があったのか。先史時代の列島に暮らす人々の行動を復元し、現代の諸問題の本質を考えるヒントを得る。

第1部 私たちはどこから来たか―歴史と起源(私たちの由来;日本列島の文化は特殊か;土器と人類;日本の文化は大陸起源か)
第2部 日本列島の人と文化―環境と適応(気候変動と人類社会;文化の東西南北;定住するということ;四季の恵みを活かす;縄文はユートピアか)
第3部 人類は“進歩”するか―身体と行動(時間を管理する能力;過去から日々の行動戦略をみなおす;身体と社会・文化;人類進化と健康問題)
第4部 現代社会に何が起こっているのか―社会と観念(向き合う社会;贈与が結ぶ社会;墓じまい考;個人と集団、平等と格差)
現代文明社会の問題点である自然の中での人間のありようを考え直す手段として、日本列島に暮らし始めた4万年前からの歴史を辿る。

世界史では新石器時代のものとされる磨製石器が旧石器時代の3・7万年前、土器も1・5万年ほど前に見られ、日本列島での文化の始まりは早い。これを著者は森林環境が生み出したとし、大陸文化の影響だけを重視せず、自然との関わりに注目した。列島内でも各地に特徴があり、北では大型獣の捕獲をめざす精巧な細石刃、南では貝など簡素なものが生まれた。これを優劣でなく環境との関わりと見ることが重要である。

1・1万年前から気候が安定な完新世になり、定住、農耕へ移行した時の生活・文化を特徴づけたのが四季の存在である。海・川・山野の資源が四季を意識させ、一年の暮らし方を予測しながら日常を組み立てることになったのだ。このような生活の基本は現代にまで続く。共同体での個人と集団の関係、平等と格差などの課題にも眼を向けながら、自然の一部としての生き方を探る試みである。
日本列島四万年のディープヒストリー 先史考古学からみた現代 / 森先 一貴
日本列島四万年のディープヒストリー 先史考古学からみた現代
  • 著者:森先 一貴
  • 出版社:朝日新聞出版
  • 装丁:単行本(224ページ)
  • 発売日:2021-08-10
  • ISBN-10:4022631112
  • ISBN-13:978-4022631114
内容紹介:
4万年前に列島へ到来した私たちの祖先は自然とどう向き合って豊かな生活を営んだか。遊動から定住への変化にどんな戦略があったのか。先史時代の列島に暮らす人々の行動を復元し、現代の諸問題… もっと読む
4万年前に列島へ到来した私たちの祖先は自然とどう向き合って豊かな生活を営んだか。遊動から定住への変化にどんな戦略があったのか。先史時代の列島に暮らす人々の行動を復元し、現代の諸問題の本質を考えるヒントを得る。

第1部 私たちはどこから来たか―歴史と起源(私たちの由来;日本列島の文化は特殊か;土器と人類;日本の文化は大陸起源か)
第2部 日本列島の人と文化―環境と適応(気候変動と人類社会;文化の東西南北;定住するということ;四季の恵みを活かす;縄文はユートピアか)
第3部 人類は“進歩”するか―身体と行動(時間を管理する能力;過去から日々の行動戦略をみなおす;身体と社会・文化;人類進化と健康問題)
第4部 現代社会に何が起こっているのか―社会と観念(向き合う社会;贈与が結ぶ社会;墓じまい考;個人と集団、平等と格差)

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2021年10月16日

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