書評

『こころのふしぎ なぜ?どうして?』(高橋書店)

  • 2017/09/12
こころのふしぎ なぜ?どうして?  / 村山 哲哉 (監修)
こころのふしぎ なぜ?どうして?
  • 著者:村山 哲哉 (監修)
  • 出版社:高橋書店
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(192ページ)
  • 発売日:2013-07-27
  • ISBN-10:4471103334
  • ISBN-13:978-4471103330
内容紹介:
こころのとびらを、あけてみて読んで、かんじて、考えよう。せかいは、ふしぎなことだらけ。

仕組みや裏側を考えさせる

「こころ」の教育というだけで構えてしまう。どうせ古くさくて窮屈な、大人に都合がいい道徳の話なんだろうと。おっと、文部科学省が配布した「心のノート」の悪口はここまで。

さて、『こころのふしぎ なぜ?どうして?』は、子ども向けのベストセラー書。ここで扱われるのは「かなしい」「こわい」「くやしい」「なまけたい」といった「気もち」とどう向き合うかという、その方法について。

例えば「くやしい」は、かけっこで負けたときに生じる感情。どうするべきか。「正しく」使えば「つぎはまけないようにがんば」るという気持ちにつながる。本書はそんな「気もち」の有用性を説く。やはり説教くさい。

ただこんな例もある。おばけがこわい理由。それは、「よくわからないもの」だから。もうひとつ理由がある。それは「でも、ちょっとだけ見て、こわい気もちをあじわいたい」から。そう、人には好奇心があり「見たい」と「こわい」はワンセットなのだ。ほーなるほど。

傑作は、「どうして、お店のものをかってにもって帰っちゃいけないの?」という例。

つまり、盗みはなぜ悪いかという問題だ。ここで説明されるのは、どろぼうは社会の「お金のながれ」を止める行為であるということだ。これによって、困る人、悲しむ人が生まれる。悪くすると、友だちのお父さんが失業して、この町から友だちもいなくなるかもしれない。それは悲しい。ここで示されるのは、仕入れ、販売といった経済の仕組みと労働の問題だ。

本書は、道徳を教えるのではなく、先のことや裏側にあるものをよく考えてみようということを言っているのだ。

扱いにくい宗教に踏み込んでもいる。だが、読みたかったのは「愛国心」。この本なら、「心のノート」とは違った切り口で教えてくれそうだ。
こころのふしぎ なぜ?どうして?  / 村山 哲哉 (監修)
こころのふしぎ なぜ?どうして?
  • 著者:村山 哲哉 (監修)
  • 出版社:高橋書店
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(192ページ)
  • 発売日:2013-07-27
  • ISBN-10:4471103334
  • ISBN-13:978-4471103330
内容紹介:
こころのとびらを、あけてみて読んで、かんじて、考えよう。せかいは、ふしぎなことだらけ。

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2014年3月23日

朝日新聞デジタルは朝日新聞のニュースサイトです。政治、経済、社会、国際、スポーツ、カルチャー、サイエンスなどの速報ニュースに加え、教育、医療、環境、ファッション、車などの話題や写真も。2012年にアサヒ・コムからブランド名を変更しました。

  • 週に1度お届けする書評ダイジェスト!
  • 「新しい書評のあり方」を探すALL REVIEWSのファンクラブ
関連記事
速水 健朗の書評/解説/選評
ページトップへ