書評

『「移動」の未来』(日経BP)

  • 2020/04/23
「移動」の未来 / エドワード・ヒュームズ
「移動」の未来
  • 著者:エドワード・ヒュームズ
  • 翻訳:染田屋 茂
  • 出版社:日経BP
  • 装丁:単行本(440ページ)
  • 発売日:2016-10-25
  • ISBN-10:4822251837
  • ISBN-13:978-4822251833
内容紹介:
ヒトの動きとモノの流れが、
いま、変わりはじめた――
気鋭のピューリッツァー賞ジャーナリストが描く交通(トランス)・(ポーテ)物流(ーション)の「見たくない現実」と「見えてきた希望」。
ネットで注文した商品がその日に届く。そんな「当たり前」を実現するために、世界中の交通・物流システムは悲鳴をあげ、崩壊の危機に直面している――。気鋭のピューリッツァー賞作家が、誰もが目をそらしたくなるような不都合な事実を詳らかにするとともに、自動運転車やAI(人工知能)、IoTなどに後押しされて始動しつつある「移動革命」の姿を展望する。

交通テクノロジーの変化による未来の社会を、鋭く読み解くノンフィクション

この50年、インターネットを別にすれば、人の生活に大きな変化は訪れなかった。意外にも投資家のピーター・ティールや経済学者のタイラー・コーエンといった技術に明るい予言者たちはそういう見方をする。現代は、停滞の時代であると。

さて本書は、交通と輸送のシステムの歴史と、それが刷新されていくだろうという機運についての本である。

自動車は、20世紀の最大のヒット商品であり、今も社会の中心を担う存在だ。本書の主役も自動車である。「モータリゼーション」は、自動車による人間社会の変化を指す言葉だ。人々は自動車をもち、郊外に居住するようになったという話をよく聞くが、本書が目をつけるのは、自動車が生み出した輸送システムである。

例えば、ドミノ・ピザのことをぼくらは「宅配ピザ屋」だと思っている。だが、彼らの本業はピザづくりではない。彼らは、全米に1万以上あるフランチャイズ店舗にドミノ・ピザのピザを供給する。厳密には、原資の調達、製造、輸送がコアな事業。彼らのビジネスの中身は“モノを移動させること”なのだ。

そう考えると、サービス業のスターバックス コーヒーも、調達、輸送がコアな事業だし、iPhoneを作るアップルだって、多数の部品を調達して運送する物流の会社だ。最新の産業に見える彼らも、実は旧態依然とした産業にのっかっているだけなのだ。

この輸送システムがアメリカで確立したのは、1960年代。すでに老朽化が進んでいる。本書が確認するのは、こうした古いインフラが今、どのように変化しようとしているかという部分。

例えば、スマホの普及による移動の変化。ナビ機能により、到着時間や乗り換えガイドが示されることで、クルマでしか移動しなかった口ス市民が、公共交通機関を利用するようになった。このことによる輸送システムへの影響は計り知れない。

本書は、自動車論、交通論、物流論でありながら、なによりもテクノロジー書。停滞の時代は、多分、もう終わりつつある。
「移動」の未来 / エドワード・ヒュームズ
「移動」の未来
  • 著者:エドワード・ヒュームズ
  • 翻訳:染田屋 茂
  • 出版社:日経BP
  • 装丁:単行本(440ページ)
  • 発売日:2016-10-25
  • ISBN-10:4822251837
  • ISBN-13:978-4822251833
内容紹介:
ヒトの動きとモノの流れが、
いま、変わりはじめた――
気鋭のピューリッツァー賞ジャーナリストが描く交通(トランス)・(ポーテ)物流(ーション)の「見たくない現実」と「見えてきた希望」。
ネットで注文した商品がその日に届く。そんな「当たり前」を実現するために、世界中の交通・物流システムは悲鳴をあげ、崩壊の危機に直面している――。気鋭のピューリッツァー賞作家が、誰もが目をそらしたくなるような不都合な事実を詳らかにするとともに、自動運転車やAI(人工知能)、IoTなどに後押しされて始動しつつある「移動革命」の姿を展望する。

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