書評

『繊細すぎてしんどいあなたへ――HSP相談室』(岩波書店)

  • 2024/10/04
繊細すぎてしんどいあなたへ――HSP相談室 / 串崎 真志
繊細すぎてしんどいあなたへ――HSP相談室
  • 著者:串崎 真志
  • 出版社:岩波書店
  • 装丁:新書(192ページ)
  • 発売日:2020-05-28
  • ISBN-10:4005009190
  • ISBN-13:978-4005009190
内容紹介:
「友だちの顔色がすっごく気になる」「匂いや音が気になる」等々・・・。これらの背景にあるのは、繊細すぎる性格です。本書では、こうした生きづらさを6つのタイプに分け、それぞれを紹介し、あわせて長所としていかに活かしていくかを具体的にアドバイスします。「繊細でよかった! 」読後にそう思えてくる一冊です。
最近、「HSP」とか「繊細さん」という言葉をよく目にする。HSPはハイリー・センシティブ・パーソン(Highly Sensitive Person)の略で、超敏感な人という意味の心理学用語だ。

ぼくは鈍感が服を着て歩いているような人間。その対極にある繊細さんとはどんな人なのか、興味がわいてきた。たくさんあるHSP本のなかで選んだのが串崎真志著『繊細すぎてしんどいあなたへ HSP相談室』(880円)。岩波ジュニア新書の一冊だ。このシリーズは中高生向けに書かれていて分かりやすい。「中3階級(=中学3年生程度の学力と理解力)」を自認するぼくにはぴったり。

まず、HSPは病気ではなく気質、性格。だから、治療するものではないという。

また、繊細さにもいろいろな種類があるという。本書では「怒っている人が怖い」「友だちの顔色をうかがってしまう」など6タイプに分類している。「怒っている人が怖い」というのは、自分が怒られているわけではないのに、怒っている人や不機嫌な人がいるだけで辛くなってしまうこと。HSPとは、感じすぎ、想像しすぎてしまう人なのである。

HSPは「細かいところが気になってしまう」が、それは「細やかなところに気が付く」と言い換えることもできる。悪いことばかりじゃない。根底にあるのは物事を深くとらえる多感さだ。

では、HSPの生きづらさ、しんどさはどうすればいいのか。この本には「気持ちのバリアをつくること」など、さまざまなノウハウが紹介されている。共通するのは、過敏な自分を理解し、客観化・相対化すること。イメージ・トレーニングなどで、世間との折り合いをつける練習をすること。

ところで、本書を読んでいて気が付いた。コロナ自粛で人と会うことがなくなり、ほっとしている自分に。著者のいうHSP6タイプの大半がぼくにも当てはまる。自分は鈍感だと思っていたけど、そうでもないらしい。この本を実践しよう。
繊細すぎてしんどいあなたへ――HSP相談室 / 串崎 真志
繊細すぎてしんどいあなたへ――HSP相談室
  • 著者:串崎 真志
  • 出版社:岩波書店
  • 装丁:新書(192ページ)
  • 発売日:2020-05-28
  • ISBN-10:4005009190
  • ISBN-13:978-4005009190
内容紹介:
「友だちの顔色がすっごく気になる」「匂いや音が気になる」等々・・・。これらの背景にあるのは、繊細すぎる性格です。本書では、こうした生きづらさを6つのタイプに分け、それぞれを紹介し、あわせて長所としていかに活かしていくかを具体的にアドバイスします。「繊細でよかった! 」読後にそう思えてくる一冊です。

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2020年6月27日

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