書評

『ドラえもん世界の国旗全百科』(小学館)

  • 2020/05/05
ドラえもん世界の国旗全百科 / 浅野 拓
ドラえもん世界の国旗全百科
  • 著者:浅野 拓
  • 出版社:小学館
  • 装丁:文庫(256ページ)
  • 発売日:2006-05-31
  • ISBN-10:4092811942
  • ISBN-13:978-4092811942
内容紹介:
ドラえもんやのび太たちが国旗や世界の国ぐにを大紹介。おもしろくって、ためになる192か国。

ドラえもんと国旗の旅へ

絵本の読み聞かせは、まったく苦にならないが、けっこう疲れるのがマンガだ。息子はドラえもんが大好きで、しょっちゅう「読んで、読んで」とせがまれる。私のいとこの古い物置から発掘(?)された、コミック30巻以上を譲(ゆず)り受けたものだから、読んでも読んでも、まだまだある(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は2008年)。

テレビアニメの声色を真似て、ドラえもんやのび太、ジャイアン、スネ夫、しずちゃん……と、セリフごとに声を変えることにしているのだが、これが大変だ。マンガというのは、あたりまえだが、ほとんどセリフでできている。最初のうちは、しずちゃんの声でジャイアンのセリフを読んでしまったりして、やり直し……なんていうこともあった。今どのコマを読んでいるかわからないようなので、指で押さえて「ここを読んでるからね。そのときは、この絵を見るんだよ。次はその下にいくからね」という指導も必要だ。

が、そのうちすっかりマンガの文法に慣れてしまい、「自分で読む」と言いだした。最近では、寝る前と朝一番にドラえもんを読むのが、息子の日課になっている。コツを覚えてしまうと、マンガというのは実に読みやすいようだ。

本当にわかっているのかなあと思って、横目で観察していると、ときどきニヤ~と笑ったり、険しい表情になったり(たぶん、のび太がいじめられているのだろう)している。「さようなら、ドラえもん」という話を読んだときには、涙をぼろぼろこぼして泣いていた。

そんな息子の様子を聞いて、叔母がプレゼントしてくれたのが『ドラえもん世界の国旗全(オール)百科』だ。前回この欄で「今『せかいのこっき』を眺めるのが趣味」と書いたことを、覚えていてくれたらしい。

美しい国旗とともに、その国の簡単な紹介や、国旗の由来が記されている。ドラえもんたちが世界の国々を旅するマンガが理解を助け、また地球が今抱えているさまざまな問題(戦争、温暖化、人種差別など)も、コラムとしてわかりやすく書かれている。

綺麗な旗を、カードのように眺めているのと違って、「国」という実体と結びつけながら見つめることは、大人の私にとっても、興味深い。

ショックだったのは、実に多くの国旗の赤色が、国のために流された人々の「血」を意味しているということだ。アフガニスタン、アルメニア、クウェート、ベトナム、モルディブ、ガーナ、チリ……あらゆる地域の国々の旗に、その血の色は刻まれている。

ドラえもんに導かれ、ますます旗好きになった息子。お子様ランチについていた星条旗を持ちかえり、この本で一所懸命調べていた。もうすぐ始まるオリンピックでも、大活躍しそうな一冊だ。

  ドラえもんのいないのび太と思うとき贈りたし君に夢の木の実を

【この書評が収録されている書籍】
かーかん、はあい 子どもと本と私 / 俵万智
かーかん、はあい 子どもと本と私
  • 著者:俵万智
  • 出版社:朝日新聞出版
  • 装丁:文庫(224ページ)
  • 発売日:2012-05-08
  • ISBN-10:4022646667
  • ISBN-13:978-4022646668
内容紹介:
6歳になった今も、息子は絵本を持って母のもとへやってくる――。子育てをする歌人が、子どものために選び、自身も心を揺り動かされた絵本48冊を紹介したエッセイ。母親世代にも懐かしい不朽の名作から、図鑑、ことば遊び、シュールなものまで、幅広く選んでいる。成長に応じた絵本探しの参考として、また母と子のあたたかな交流を描いた本として楽しい一冊。単行本全2巻を1冊にまとめて文庫化。

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

ドラえもん世界の国旗全百科 / 浅野 拓
ドラえもん世界の国旗全百科
  • 著者:浅野 拓
  • 出版社:小学館
  • 装丁:文庫(256ページ)
  • 発売日:2006-05-31
  • ISBN-10:4092811942
  • ISBN-13:978-4092811942
内容紹介:
ドラえもんやのび太たちが国旗や世界の国ぐにを大紹介。おもしろくって、ためになる192か国。

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2008年7月30日

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