書評

『おそめ―伝説の銀座マダム』(新潮社)

  • 2018/03/03
おそめ―伝説の銀座マダム  / 石井 妙子
おそめ―伝説の銀座マダム
  • 著者:石井 妙子
  • 出版社:新潮社
  • 装丁:文庫(476ページ)
  • 発売日:2009-03-28
  • ISBN-10:4101372519
  • ISBN-13:978-4101372518
内容紹介:
かつて銀座に川端康成、白洲次郎、小津安二郎らが集まる伝説のバーがあった。その名は「おそめ」。マダムは元祇園芸妓。小説のモデルとなり、並はずれた美貌と天真爛漫な人柄で、またたく間に頂点へと駆け上るが-。私生活ではひとりの男を愛し続けた一途な女。ライバルとの葛藤など、さまざまな困難に巻き込まれながらも美しく生きた半生を描く。隠れた昭和史としても読める一冊。

【名著 味読・再読】伝説のマダムを描く傑作

「おそめ」こと上羽秀の評伝。祇園の芸者としてキャリアをスタートし、戦後は京都・木屋町と東京・銀座でバーや高級クラブを経営、「空飛ぶマダム」と呼ばれた絶頂期を迎える。

本書の白眉はその後の凋落の物語にある。時代とずれ始め、落ちぶれても、滅茶苦茶な金銭感覚で、周囲が意見をすると「物もお金も残す気持ちなんかありまへん、うちが残したいのは名前だけ」と啖呵を切る。

おそめの爆発的な成功と、意外に早かった凋落が教えてくれるのは、商売の理屈で割り切れない部分である。本書には、商売の面白さ、楽しさ、美しさ、難しさ、怖さ、深さ、哀しさなどがすべて詰まる。秀の人生を象徴的に描くエンディングも素晴らしい。一読して唸る、傑作だ。
おそめ―伝説の銀座マダム  / 石井 妙子
おそめ―伝説の銀座マダム
  • 著者:石井 妙子
  • 出版社:新潮社
  • 装丁:文庫(476ページ)
  • 発売日:2009-03-28
  • ISBN-10:4101372519
  • ISBN-13:978-4101372518
内容紹介:
かつて銀座に川端康成、白洲次郎、小津安二郎らが集まる伝説のバーがあった。その名は「おそめ」。マダムは元祇園芸妓。小説のモデルとなり、並はずれた美貌と天真爛漫な人柄で、またたく間に頂点へと駆け上るが-。私生活ではひとりの男を愛し続けた一途な女。ライバルとの葛藤など、さまざまな困難に巻き込まれながらも美しく生きた半生を描く。隠れた昭和史としても読める一冊。

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初出メディア

週刊ダイヤモンド

週刊ダイヤモンド 2016年2月13日

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