書評

『奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録』(幻冬舎)

  • 2018/03/25
奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録 / 石川 拓治
奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録
  • 著者:石川 拓治
  • 出版社:幻冬舎
  • 装丁:文庫(260ページ)
  • 発売日:2011-04-12
  • ISBN-10:4344416457
  • ISBN-13:978-4344416451
内容紹介:
リンゴ栽培には農薬が不可欠。誰もが信じて疑わないその「真実」に挑んだ男がいた。農家、木村秋則。「死ぬくらいなら、バカになればいい」そう言って、醤油、牛乳、酢など、農薬に代わる「何か」を探して手を尽くす。やがて収入はなくなり、どん底生活に突入。壮絶な孤独と絶望を乗り越え、ようやく木村が辿り着いたもうひとつの「真実」とは。
この人のことは絶対に本にするべきだ――編集者の大島加奈子さんにそう電話をかけてきたのは、脳科学者の茂木健一郎さんだった。出演しているNHKの番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」の収録直後。この人とはその日のゲスト、青森のリンゴ農家、木村秋則さんのこと。農薬も有機肥料も使わないリンゴ栽培に成功した人物だ。

大島さんも木村さんに会った瞬間「この人は何かが違う!」と感じたという。「これはきちんと取材して、誠実なノンフィクションにしなければと思いました。専門用語で説明するのでなく、肌感覚で分かるものを、そして木村さんの人柄が伝わる本にしたかった」。信頼をよせていたノンフィクションライターの石川拓治さんに執筆を依頼。石川さんは1年をかけて青森に通い、取材を重ねたという。

現在の農法にたどり着くまでに実に30年近く。失敗の連続で家族は極貧状況に陥った。愚直に試み続ける木村さん、彼を支える一家の苦難は想像を絶する。そして彼が引き出した大いなる自然の力に、圧倒される。

初版6千部はすぐに重版がかかった。秋ごろから成功本、ビジネス本として注目されはじめ、売り上げが伸びた。最初は男性読者が多かったが今年に入ってから女性も4割強。30、40代が中心だ。「自分も頑張ろうと思った」という感想が多数。

木村さんは現在、講演の際、収穫が安定したら価格を下げるよう指導している。多くの人に無農薬無肥料のリンゴを選んでもらいたいからだ。「私は百姓だからな」という木村さん、表紙写真で実にいい顔をして笑っている。読後に見直すと、畏敬(いけい)の念がこみあげてくる。
奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録 / 石川 拓治
奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録
  • 著者:石川 拓治
  • 出版社:幻冬舎
  • 装丁:文庫(260ページ)
  • 発売日:2011-04-12
  • ISBN-10:4344416457
  • ISBN-13:978-4344416451
内容紹介:
リンゴ栽培には農薬が不可欠。誰もが信じて疑わないその「真実」に挑んだ男がいた。農家、木村秋則。「死ぬくらいなら、バカになればいい」そう言って、醤油、牛乳、酢など、農薬に代わる「何か」を探して手を尽くす。やがて収入はなくなり、どん底生活に突入。壮絶な孤独と絶望を乗り越え、ようやく木村が辿り着いたもうひとつの「真実」とは。

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2009年3月1日

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