書評

『たった独りの外交録 -中国・アメリカの狭間で、日本人として生きる』(晶文社)

  • 2022/08/04
たった独りの外交録 -中国・アメリカの狭間で、日本人として生きる / 加藤嘉一
たった独りの外交録 -中国・アメリカの狭間で、日本人として生きる
  • 著者:加藤嘉一
  • 出版社:晶文社
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(320ページ)
  • 発売日:2014-10-10
  • ISBN-10:4794968574
  • ISBN-13:978-4794968579
内容紹介:
言論統制、反日感情、尖閣危機、ハーバードでの情報戦……中国・アメリカ2つの大国を駆け抜けた怒濤の日々の記録!

「一般人」、体当たりの論戦

外国で恥をかき捨てた日本人も多かったが、外目には自分たちがどう映るのかを学び、礼儀正しく、親切な日本人というイメージをある程度、定着させたのは民間外交に尽くした一般の人々であった。外交は何も外務省の専売特許でも、定義が曖昧(あいまい)な「国益」に奉仕することでもなく、個々の倫理や善意を発揮し、相互理解と信頼関係を築くことである。しかし、身の置き場によっては、大きな困難を伴う。そこにいる日本人が自分一人なら、その気はなくとも日本を代表させられ、誤解と偏見を増幅させる危険もある。言論統制と反日感情が逆巻く完全アウェイの中国で緊張と恍惚(こうこつ)を味わい尽くした青年の主張は、小田実の「何でも見てやろう」や江藤淳の「アメリカと私」を思い出させる。対米従属以外の選択肢を持たない日本外交の限界を超えるには、体当たりの論戦を重ねながら、個人としての正義の発揮の仕方を模索するこの青年を見習うほかない。
たった独りの外交録 -中国・アメリカの狭間で、日本人として生きる / 加藤嘉一
たった独りの外交録 -中国・アメリカの狭間で、日本人として生きる
  • 著者:加藤嘉一
  • 出版社:晶文社
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(320ページ)
  • 発売日:2014-10-10
  • ISBN-10:4794968574
  • ISBN-13:978-4794968579
内容紹介:
言論統制、反日感情、尖閣危機、ハーバードでの情報戦……中国・アメリカ2つの大国を駆け抜けた怒濤の日々の記録!

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2015年1月11日

朝日新聞デジタルは朝日新聞のニュースサイトです。政治、経済、社会、国際、スポーツ、カルチャー、サイエンスなどの速報ニュースに加え、教育、医療、環境、ファッション、車などの話題や写真も。2012年にアサヒ・コムからブランド名を変更しました。

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