書評

『白い人びと―― ほか短篇とエッセー』(みすず書房)

  • 2020/05/28
白い人びと―― ほか短篇とエッセー / フランシス・バーネット
白い人びと―― ほか短篇とエッセー
  • 著者:フランシス・バーネット
  • 翻訳:中村妙子
  • 出版社:みすず書房
  • 装丁:単行本(200ページ)
  • 発売日:2013-05-10
  • ISBN-10:4622085070
  • ISBN-13:978-4622085072
内容紹介:
『小公子』の作者が贈る、死への怖れを優しく拭い去る幻想的な表題作に、『秘密の花園』に連なる初邦訳のエッセイ2篇、童話を付す。

死は虚無ではなく目覚めなのだ

子供に大人には見えないものが見えるのは、生まれる前の、だからまだ生が死と未分化な状態の記憶が残っているからなのか。表題作「白い人びと」の主人公イゾベルは、小さな子供さながら死を現実的に想像できない。

スコットランドの辺鄙な古城に暮らす彼女は、幼いころから折々目にしてきた〈白い人びと〉が周囲の者には見えていないことに気づく。作家ヘクターと結ばれ、〈白い人びと〉と初めて出会ったヒースの茂る丘の中腹を愛する夫と歩くとき、イゾベルは不意に、圧倒的な歓喜と美に光輝く「何ものにも捉われない自在さ」の感覚に包まれる。

死とは恐ろしい虚無ではなく目覚めなのだと悟るイゾベルには、児童文学の名作『小公女』『小公子』の作者として知られるバーネットの死生観が反映されているのだろう。生と死がたがいを否定しない本書の世界においては、鳥も麦粒も庭の草花もみな等しく美しい魂を持ち、人の魂と親しげに交流する。


白い人びと―― ほか短篇とエッセー / フランシス・バーネット
白い人びと―― ほか短篇とエッセー
  • 著者:フランシス・バーネット
  • 翻訳:中村妙子
  • 出版社:みすず書房
  • 装丁:単行本(200ページ)
  • 発売日:2013-05-10
  • ISBN-10:4622085070
  • ISBN-13:978-4622085072
内容紹介:
『小公子』の作者が贈る、死への怖れを優しく拭い去る幻想的な表題作に、『秘密の花園』に連なる初邦訳のエッセイ2篇、童話を付す。

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2013年07月14日

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