書評

『書簡で読むアフリカのランボー』(未来社)

  • 2021/10/20
書簡で読むアフリカのランボー / 鈴村 和成
書簡で読むアフリカのランボー
  • 著者:鈴村 和成
  • 出版社:未来社
  • 装丁:単行本(253ページ)
  • 発売日:2013-02-01
  • ISBN-10:4624610377
  • ISBN-13:978-4624610371
内容紹介:
ヨーロッパからアフリカへ。天才詩人ランボーの謎の足跡を追って、アフリカにおけるランボー研究の第一人者が残された商用書簡や家族への書簡等をつうじてランボーの後半生を、詩の断絶ではなく延長線にあるとする独自の見地からその行動を読み解こうとしたミステリアス・リーディングの集大成。

詩作放棄した後半生の意味問う

一人の男が生きた二つの人生。二十歳まで詩人として駈けぬけた数年と、五年間の放浪のあと、アフリカでコーヒー交易商人、武器商人、僻地(へきち)の探検家として生きた十余年。きれいさっぱり詩作を放棄したこの後半生がもつ意味を、この本は問うている。

家族への近況報告や事務的な書簡ばかりで、「沙漠の様に無味乾燥」(小林秀雄)にみえるアフリカからの書簡は、全集のほぼ半分を占める。これを解読しながら、著者は、ランボーは「沈黙」したのではなく、死の床にいたるまで「書く人」だったという。彼の二つの人生は、「〈書簡〉というメディアを用いた書簡作者の変遷」として解釈すべきだと。じっさい、彼の詩の多くは「書簡とともに書かれ、書簡とともに知友に送付され」た(著者による個人訳全集の解題から)。『地獄の季節』がヴェルレーヌを宛先とする自伝でもあったように、詩そのものがだれかに宛てられていた。「書く」ことの意味について深く考えさせる本だ。
書簡で読むアフリカのランボー / 鈴村 和成
書簡で読むアフリカのランボー
  • 著者:鈴村 和成
  • 出版社:未来社
  • 装丁:単行本(253ページ)
  • 発売日:2013-02-01
  • ISBN-10:4624610377
  • ISBN-13:978-4624610371
内容紹介:
ヨーロッパからアフリカへ。天才詩人ランボーの謎の足跡を追って、アフリカにおけるランボー研究の第一人者が残された商用書簡や家族への書簡等をつうじてランボーの後半生を、詩の断絶ではなく延長線にあるとする独自の見地からその行動を読み解こうとしたミステリアス・リーディングの集大成。

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2013年3月10日

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