書評

『生還』(文藝春秋)

  • 2022/09/12
生還 / 小林 信彦
生還
  • 著者:小林 信彦
  • 出版社:文藝春秋
  • 装丁:単行本(193ページ)
  • 発売日:2019-03-15
  • ISBN-10:4163909885
  • ISBN-13:978-4163909882
内容紹介:
一昨年、自宅で脳梗塞を起こした当時八十四歳の私。入院・転院・リハビリ・帰宅・骨折・再入院の日々。私は本当に治癒していくのか?

滑稽さとすごみある闘病記

生きるか死ぬかの1週間を経たあと、小林信彦は長く入院することになる。脳梗塞だった。面識もあった、好きな役者や作家たちが「わからぬ形で」消えていくことがあり、それが後になって脳梗塞だとわかることがある、と著者は自分の病気を分析してみせる。

一方で、オシッコのことで担当の看護師とうまくいかなくなったり、長くベッドで寝ているので、人間を斜め下から鼻で判断するようになったりもする。ニコール・キッドマンの鼻が「もっとも好ましい」と書いていて、思わずニヤリとしてしまう。

闘病記である。だが、もちろんただの闘病記ではない。重病を患う人間と、その周りの人々との会話に諧謔と凄みがある。


生還 / 小林 信彦
生還
  • 著者:小林 信彦
  • 出版社:文藝春秋
  • 装丁:単行本(193ページ)
  • 発売日:2019-03-15
  • ISBN-10:4163909885
  • ISBN-13:978-4163909882
内容紹介:
一昨年、自宅で脳梗塞を起こした当時八十四歳の私。入院・転院・リハビリ・帰宅・骨折・再入院の日々。私は本当に治癒していくのか?

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

初出メディア

日本経済新聞

日本経済新聞 2019年6月20日

  • 週に1度お届けする書評ダイジェスト!
  • 「新しい書評のあり方」を探すALL REVIEWSのファンクラブ
関連記事
陣野 俊史の書評/解説/選評
ページトップへ