書評

『再会』(講談社)

  • 2017/10/31
再会 / 横関 大
再会
  • 著者:横関 大
  • 出版社:講談社
  • 装丁:単行本(348ページ)
  • 発売日:2010-08-06
  • ISBN-10:4062164655
  • ISBN-13:978-4062164658
内容紹介:
誰がうそをついている?幼なじみの四人が校庭に埋めた拳銃は、二十三年の時を経て再び放たれた。それぞれの想い出が重なるとき、時を越えたさらなる真実が目を覚ます-!全てはタイムカプセルにとじ込めた-はずだった。第56回江戸川乱歩賞受賞作。

殺人めぐり疑心暗鬼になる4人

今年度の、江戸川乱歩賞受賞作(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は2010年)。女性美容師を脅し、金と体を要求したスーパーの店長が、何者かに射殺される。凶器は、残された弾丸の条痕から、23年前のある事件で使われた、警察官の制式拳銃と判明する。

美容師と離婚したその夫、事件の捜査にかかわる刑事、そして殺された店長の異母弟は、かつて小学校の同級生だった。4人は卒業に際して、校庭の隅にタイムカプセルを埋めた。その中には問題の拳銃もはいっており、刑事は残りの3人のうちだれかが、それを掘り出して使ったもの、と狙いをつける。久しぶりに再会した4人が、互いに疑心暗鬼になる展開がおもしろい。さらにそこへ、県警の若い腕利き刑事がからみ、4人の結束を少しずつ崩していく。

物語は、主に幼なじみ4人の視点で、順繰りに語られる。しかし、作者が登場人物の心理描写を、恣意(しい)的に取捨選択して書くので、都合の悪い情報は伏せられる。それをアンフェア、と感じる人もいるかもしれない。逆に、これくらいは本格ミステリーに許される誤導だ、と擁護する向きもあるだろう。

その判断は、読者にゆだねるしかない。
再会 / 横関 大
再会
  • 著者:横関 大
  • 出版社:講談社
  • 装丁:単行本(348ページ)
  • 発売日:2010-08-06
  • ISBN-10:4062164655
  • ISBN-13:978-4062164658
内容紹介:
誰がうそをついている?幼なじみの四人が校庭に埋めた拳銃は、二十三年の時を経て再び放たれた。それぞれの想い出が重なるとき、時を越えたさらなる真実が目を覚ます-!全てはタイムカプセルにとじ込めた-はずだった。第56回江戸川乱歩賞受賞作。

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2010年9月26日

朝日新聞デジタルは朝日新聞のニュースサイトです。政治、経済、社会、国際、スポーツ、カルチャー、サイエンスなどの速報ニュースに加え、教育、医療、環境、ファッション、車などの話題や写真も。2012年にアサヒ・コムからブランド名を変更しました。

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