書評
『世界ミステリ作家事典―ハードボイルド・警察小説・サスペンス篇』(国書刊行会)
私は六〇年代に海外ミステリにめざめたが、当時、書誌を備えた論考は江戸川乱歩の『海外探偵小説 作家と作品』しかなく、その後もこれを超える参考書はなかった。森英俊がほぼ一人で書いた『世界ミステリ作家事典【本格派篇】』という怪物書が出るまでは。
本書は、待望垂涎の姉妹篇だが、森の偉才をもってしても、多彩極まるこの千ページを一人で仕上げることは不可能だった。それほど本書の扱う領域は広く雑多で興味津々、作家の名前を眺めるだけでわくわくする。
ウールリッチ、ハイスミスなどアメリカン・サスペンス勢に、ハメット、トンプスンというハードボイルド派。忘れちゃならぬシムノン、ジョヴァンニらフランス圏の強者たち。彼らぬきでミステリは語れない。
執筆者が腕を競う力(リキ)のこもった記述に、完璧な作家別書誌、索引、全集・選集のリストまで完備して、どこを開いてもファンなら夢想に誘われる。本書を買った夜は睡眠不足必至だ。
本書は、待望垂涎の姉妹篇だが、森の偉才をもってしても、多彩極まるこの千ページを一人で仕上げることは不可能だった。それほど本書の扱う領域は広く雑多で興味津々、作家の名前を眺めるだけでわくわくする。
ウールリッチ、ハイスミスなどアメリカン・サスペンス勢に、ハメット、トンプスンというハードボイルド派。忘れちゃならぬシムノン、ジョヴァンニらフランス圏の強者たち。彼らぬきでミステリは語れない。
執筆者が腕を競う力(リキ)のこもった記述に、完璧な作家別書誌、索引、全集・選集のリストまで完備して、どこを開いてもファンなら夢想に誘われる。本書を買った夜は睡眠不足必至だ。
朝日新聞 2004年02月15日
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