書評

『甦る昭和脇役名画館』(講談社)

  • 2024/11/26
甦る昭和脇役名画館 / 鹿島 茂
甦る昭和脇役名画館
  • 著者:鹿島 茂
  • 出版社:講談社
  • 装丁:単行本(387ページ)
  • 発売日:2005-11-01
  • ISBN-10:4062131374
  • ISBN-13:978-4062131377
内容紹介:
東映ヤクザ映画、日活ロマンポルノ、新東宝怪奇映画…。三〇〇〇本以上のプログラム・ピクチャーから厳選三六本!あの懐かしの個性派俳優たちが帰って来た。目次第1回上映 不器用な愛―荒木一… もっと読む
東映ヤクザ映画、日活ロマンポルノ、新東宝怪奇映画…。三〇〇〇本以上のプログラム・ピクチャーから厳選三六本!あの懐かしの個性派俳優たちが帰って来た。

目次
第1回上映 不器用な愛―荒木一郎
第2回上映 哀しき肉体―ジェリー藤尾
第3回上映 孤高のドラキュラ―岸田森
第4回上映 天才は多作である―佐々木孝丸
第5回上映 抗い難き過剰―伊藤雄之助
第6回上映 横目な色悪―天知茂
第7回上映 1969年のハンサム・ピンク―吉澤健
第8回上映 生涯一エロ女優の心意気―三原葉子
第9回上映 我が存在に余りなし―川地民夫
第10回上映 パラドキシカルなエロスの女神―芹明香
第11回上映 鉄砲玉役者の美学―渡瀬恒彦
第12回上映 ホモ・ソーシャルな悪の貴公子―成田三樹夫
著者は大学から大学院へ進む前後十年間に三〇〇〇本以上の映画を見た。その多くは東映ヤクザ映画や日活ロマンポルノである。つまり、日本のプログラムピクチャーの最後の光芒を一身に浴びながら、鬱屈した青春を送っていたのだ。

浪費された時間はここに奇書として結晶した。選ばれた脇役は十二人。出てくる女優が三原葉子と芹明香だけという選択を見ても、この映画館主の趣味の良さを知ることができる。

しかし、ヤクザ映画もポルノ映画館も男たちのホモソーシャルな悪のパラダイスであり、男優の悪の魅力を論じてこそ、鹿島教授の筆は冴えに冴える。

圧巻は冒頭と掉尾を飾る荒木一郎、渡瀬恒彦、成田三樹夫論。これぞ男の悪の華。ともかく面白いだけでなく、「博徒外人部隊」の渡瀬恒彦の登場に、美的なユートピアの成立の不可能性という日本文化全体の転回点が見られる、という指摘など、意外かつ犀利な分析の連続に思わず膝を打つ。


甦る昭和脇役名画館 / 鹿島 茂
甦る昭和脇役名画館
  • 著者:鹿島 茂
  • 出版社:講談社
  • 装丁:単行本(387ページ)
  • 発売日:2005-11-01
  • ISBN-10:4062131374
  • ISBN-13:978-4062131377
内容紹介:
東映ヤクザ映画、日活ロマンポルノ、新東宝怪奇映画…。三〇〇〇本以上のプログラム・ピクチャーから厳選三六本!あの懐かしの個性派俳優たちが帰って来た。目次第1回上映 不器用な愛―荒木一… もっと読む
東映ヤクザ映画、日活ロマンポルノ、新東宝怪奇映画…。三〇〇〇本以上のプログラム・ピクチャーから厳選三六本!あの懐かしの個性派俳優たちが帰って来た。

目次
第1回上映 不器用な愛―荒木一郎
第2回上映 哀しき肉体―ジェリー藤尾
第3回上映 孤高のドラキュラ―岸田森
第4回上映 天才は多作である―佐々木孝丸
第5回上映 抗い難き過剰―伊藤雄之助
第6回上映 横目な色悪―天知茂
第7回上映 1969年のハンサム・ピンク―吉澤健
第8回上映 生涯一エロ女優の心意気―三原葉子
第9回上映 我が存在に余りなし―川地民夫
第10回上映 パラドキシカルなエロスの女神―芹明香
第11回上映 鉄砲玉役者の美学―渡瀬恒彦
第12回上映 ホモ・ソーシャルな悪の貴公子―成田三樹夫

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2006年01月15日

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