書評

『「仁義なき戦い」をつくった男たち: 深作欣二と笠原和夫』(NHK出版)

  • 2024/12/03
「仁義なき戦い」をつくった男たち: 深作欣二と笠原和夫 / 山根 貞男
「仁義なき戦い」をつくった男たち: 深作欣二と笠原和夫
  • 著者:山根 貞男
  • 出版社:NHK出版
  • 装丁:単行本(269ページ)
  • 発売日:2005-01-01
  • ISBN-10:4140808543
  • ISBN-13:978-4140808542
内容紹介:
二人の戦中派映画人が去ってニ年。一大ヒット・ヤクザ映画に託したメッセージとは?1970年代―混沌から管理化へと日本社会が変貌を遂げようとする閉塞の時代に、衝撃を与えた大衆映画、『仁義… もっと読む
二人の戦中派映画人が去ってニ年。一大ヒット・ヤクザ映画に託したメッセージとは?
1970年代―混沌から管理化へと日本社会が変貌を遂げようとする閉塞の時代に、衝撃を与えた大衆映画、『仁義なき戦い』。このシリーズを作った監督深作欣二、脚本家笠原和夫、この二人が作品に込めたメッセージを読み解く。

目次
第1章 『仁義なき戦い』の面白さ
第2章 『仁義なき戦い』の源流を訪ねて
第3章 東映を語る、『仁義なき戦い』を語る
第4章 深作欣二の闘い―『仁義なき戦い』への歩み
第5章 真実を追い続けた笠原和夫の脚本づくり
第6章 その後の深作欣二と笠原和夫
「仁義なき戦い」は今や日本映画の名作と評価されるが、封切り時は「女番長(スケバン)」との二本立て、ただの娯楽映画だった。本書は「仁義~」を東映という映画会社が生んだ歴史的必然としてとらえ、日本近代史のなかに位置づけようとする。

「仁義~」は広島の原爆の映像で始まる。それは戦後の混沌の象徴であり、深作欣二監督は善玉悪玉の区別なくヤクザの群像をゆれるカメラで描いた。殺陣師・上野隆三や撮影監督・吉田貞次の生々しい証言が現場の熱気を伝えている。

この創造の現場を支えたのは、脚本家・笠原和夫の緻密なドラマ作りだった。

笠原は現地調査と聞き書きを欠かさず、また、例えば「二百三高地」のための年表は細かい字でびっしり書かれ、四メートルにも及ぶ。執念の賜物である笠原の膨大な取材ノートの一端を実際に見られるだけでも本書の価値は絶大である。

ドキュメントと歴史展望のバランスが見事にとれた映画ファン必読の好著だ。
「仁義なき戦い」をつくった男たち: 深作欣二と笠原和夫 / 山根 貞男
「仁義なき戦い」をつくった男たち: 深作欣二と笠原和夫
  • 著者:山根 貞男
  • 出版社:NHK出版
  • 装丁:単行本(269ページ)
  • 発売日:2005-01-01
  • ISBN-10:4140808543
  • ISBN-13:978-4140808542
内容紹介:
二人の戦中派映画人が去ってニ年。一大ヒット・ヤクザ映画に託したメッセージとは?1970年代―混沌から管理化へと日本社会が変貌を遂げようとする閉塞の時代に、衝撃を与えた大衆映画、『仁義… もっと読む
二人の戦中派映画人が去ってニ年。一大ヒット・ヤクザ映画に託したメッセージとは?
1970年代―混沌から管理化へと日本社会が変貌を遂げようとする閉塞の時代に、衝撃を与えた大衆映画、『仁義なき戦い』。このシリーズを作った監督深作欣二、脚本家笠原和夫、この二人が作品に込めたメッセージを読み解く。

目次
第1章 『仁義なき戦い』の面白さ
第2章 『仁義なき戦い』の源流を訪ねて
第3章 東映を語る、『仁義なき戦い』を語る
第4章 深作欣二の闘い―『仁義なき戦い』への歩み
第5章 真実を追い続けた笠原和夫の脚本づくり
第6章 その後の深作欣二と笠原和夫

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2005年03月06日

朝日新聞デジタルは朝日新聞のニュースサイトです。政治、経済、社会、国際、スポーツ、カルチャー、サイエンスなどの速報ニュースに加え、教育、医療、環境、ファッション、車などの話題や写真も。2012年にアサヒ・コムからブランド名を変更しました。

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