書評

『男色の民俗学』(批評社)

  • 2025/02/23
男色の民俗学 / 礫川 全次
男色の民俗学
  • 著者:礫川 全次
  • 出版社:批評社
  • 装丁:単行本(311ページ)
  • 発売日:2003-12-01
  • ISBN-10:4826503830
  • ISBN-13:978-4826503839
内容紹介:
古来日本は男色が盛んな国であった。近代以前の僧侶・武士・芸能者という男色の三大勢力に、明治以降は学生が加わった。その系譜は今日のオウム真理教や自衛隊にまで脈々と連なっている。男色… もっと読む
古来日本は男色が盛んな国であった。近代以前の僧侶・武士・芸能者という男色の三大勢力に、明治以降は学生が加わった。その系譜は今日のオウム真理教や自衛隊にまで脈々と連なっている。男色を通して見る日本精神史。未開拓な部分が多いわが国の男色研究史の中から、明治20年代~昭和30年代の知られざる男色論・ユニークな男色論21編を紹介する。

目次
解説篇 男色の沿革を略述し日本人の国民性に及ぶ
資料篇(男娼(一八九〇年)(独笑居士)
男色に就て(一八九九年)(舟岡英之助)
学生の暗面に蟠れる男色の一大悪風を痛罵す(一九〇九年)(河岡潮風)
男子間相愛の風俗の沿革(一九一八年)(森徳太郎)
同性愛の歴史観と其意義(抄)(一九二一年)(鷲尾浩)
男色に関する史的及び文学的考証(一九二四年)(田中香涯)
男倡を出現させた当代の好尚(一九二七年)(中山太郎) ほか)
江戸川乱歩、南方熊楠、稲垣足穂。彼らは揃って男色に尋常ならざる関心を抱いていた。そして、この三人と因縁浅からぬ岩田準一の『本朝男色考 男色文献書志』こそ、この分野に興味をもつ者すべてが出発点におくべき書物だが、岩田は在野の研究者だった。 日本は世界に稀(まれ)な男色に寛大な国だとよくいわれるが、男色研究に日本のアカデミズムは寛大ではない。そこで岩田のような在野の人の努力が貴重になる。 本書の編者も在野の精力的な研究者である。岩田の筆は室町時代でとまっているが、本書は、明治から昭和までの文献を集めている。 男娼の実態、明治の学生の男色(森鴎外も被害にあった!)、若衆歌舞伎、陰間茶屋から、犯罪や「秘技」に至るまで論点は多岐におよぶが、序論でオウム教団と男色との関係を報じた「東京スポーツ」の記事から論じはじめるなど、編者の柔軟な姿勢のおかげで、じつに読んで面白い本になった。脚注も親切で有益だ。
男色の民俗学 / 礫川 全次
男色の民俗学
  • 著者:礫川 全次
  • 出版社:批評社
  • 装丁:単行本(311ページ)
  • 発売日:2003-12-01
  • ISBN-10:4826503830
  • ISBN-13:978-4826503839
内容紹介:
古来日本は男色が盛んな国であった。近代以前の僧侶・武士・芸能者という男色の三大勢力に、明治以降は学生が加わった。その系譜は今日のオウム真理教や自衛隊にまで脈々と連なっている。男色… もっと読む
古来日本は男色が盛んな国であった。近代以前の僧侶・武士・芸能者という男色の三大勢力に、明治以降は学生が加わった。その系譜は今日のオウム真理教や自衛隊にまで脈々と連なっている。男色を通して見る日本精神史。未開拓な部分が多いわが国の男色研究史の中から、明治20年代~昭和30年代の知られざる男色論・ユニークな男色論21編を紹介する。

目次
解説篇 男色の沿革を略述し日本人の国民性に及ぶ
資料篇(男娼(一八九〇年)(独笑居士)
男色に就て(一八九九年)(舟岡英之助)
学生の暗面に蟠れる男色の一大悪風を痛罵す(一九〇九年)(河岡潮風)
男子間相愛の風俗の沿革(一九一八年)(森徳太郎)
同性愛の歴史観と其意義(抄)(一九二一年)(鷲尾浩)
男色に関する史的及び文学的考証(一九二四年)(田中香涯)
男倡を出現させた当代の好尚(一九二七年)(中山太郎) ほか)

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2004年2月8日

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