書評

『マリー・アントワネット 運命の24時間 知られざるフランス革命ヴァレンヌ逃亡』(朝日新聞出版)

  • 2020/05/06
マリー・アントワネット 運命の24時間 知られざるフランス革命ヴァレンヌ逃亡 / 中野京子
マリー・アントワネット 運命の24時間 知られざるフランス革命ヴァレンヌ逃亡
  • 著者:中野京子
  • 出版社:朝日新聞出版
  • 装丁:単行本(248ページ)
  • 発売日:2012-02-17
  • ISBN-10:4022509031
  • ISBN-13:978-4022509031
内容紹介:
亡命失敗、フランスに王がいなくなる日。刻々と迫る断頭台への道程。革命に翻弄された王妃の真実とは?-。

ヴァレンヌ逃亡、劇的に再現

著者の専門はドイツ文学だが、近年は西洋文化史、政治史への傾倒が著しく、絵画を通じて〈絵解き〉をする仕事に、精彩を放っている。

一時、小説への志向を見せた著者は、単なる美術評論をする気など、もとよりない。絵画の背後に広がる、複雑極まりないヨーロッパの裏面史を、華麗な筆で浮き彫りにする。本書では、フランス革命の象徴的な存在、マリー・アントワネットの一挿話、ヴァレンヌ逃亡失敗事件を取り上げ、追う者と追われる者の迫真の攻防戦を、ドラマチックに再現してみせる。淫乱、贅沢、傲慢などなど、あらゆる悪罵を浴びせられるアントワネットだが、ここでは好意的な王妃像が呈示(ていじ)される。

逃亡を助けるフェルゼン、阻止せんとするラファイエット、優柔不断で頼りにならぬルイ16世、その他関係する人びとが個性豊かに、描き分けられる。脱走と追跡のカットバックは、さながら往時の西部劇を見るようで、手に汗を握らせる。
マリー・アントワネット 運命の24時間 知られざるフランス革命ヴァレンヌ逃亡 / 中野京子
マリー・アントワネット 運命の24時間 知られざるフランス革命ヴァレンヌ逃亡
  • 著者:中野京子
  • 出版社:朝日新聞出版
  • 装丁:単行本(248ページ)
  • 発売日:2012-02-17
  • ISBN-10:4022509031
  • ISBN-13:978-4022509031
内容紹介:
亡命失敗、フランスに王がいなくなる日。刻々と迫る断頭台への道程。革命に翻弄された王妃の真実とは?-。

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2012年4月22日

朝日新聞デジタルは朝日新聞のニュースサイトです。政治、経済、社会、国際、スポーツ、カルチャー、サイエンスなどの速報ニュースに加え、教育、医療、環境、ファッション、車などの話題や写真も。2012年にアサヒ・コムからブランド名を変更しました。

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