書評

『『共同幻想論』に挑む ――家族人類学的考察』(筑摩書房)

  • 2026/07/06
『共同幻想論』に挑む ――家族人類学的考察 / 鹿島 茂
『共同幻想論』に挑む ――家族人類学的考察
  • 著者:鹿島 茂
  • 出版社:筑摩書房
  • 装丁:単行本(640ページ)
  • 発売日:2026-03-11
  • ISBN-10:4480815910
  • ISBN-13:978-4480815910
内容紹介:
吉本隆明の主著『共同幻想論』に、鹿島茂が〈遡行読み〉という手法、またE・トッドらの家族人類学の最新の知見を武器に挑む!
著者・鹿島茂氏は律儀なひとだ。学生のころ吉本隆明『共同幻想論』が理解できなかった。後年≪エマニュエル・トッドの家族人類学≫を読み≪突如、理解可能≫になった。そこで『ちくま』に連載六八回、六百頁(ページ)超の執念の読解の書が成った。

『共同幻想論』は「幻想」の概念が独特だ。唯物論のマルクス主義の向こうを張る。返す刀で天皇制の元を断つ。執筆意図は実に明白だ。

幻想の機序を対幻想/自己幻想/共同幻想に三分し、柳田国男の『遠野物語』を素材にその力学を検証する。量子力学の実験のようだ。世界でも独自で最高水準の達成である。

マルクス、エンゲルスは人類学を援用した。モーガンの『古代社会』だ。トッドの人類学は、食糧生産など経済基盤から家族類型の変遷を追う歴史的考察。マルクス主義に対抗する『共同幻想論』の補助線にこれでよいのかと思わないでもない。

本書は『共同幻想論』を巻末から逆に読み進み、最後に元の順序で整理する。日本の歴史の、そして近代の根底にあるテーマは家族なのだ。『共同幻想論』は永く読み継ぐべき知的遺産。吉本隆明の独創的業績への深い敬意に基づく労作である。
『共同幻想論』に挑む ――家族人類学的考察 / 鹿島 茂
『共同幻想論』に挑む ――家族人類学的考察
  • 著者:鹿島 茂
  • 出版社:筑摩書房
  • 装丁:単行本(640ページ)
  • 発売日:2026-03-11
  • ISBN-10:4480815910
  • ISBN-13:978-4480815910
内容紹介:
吉本隆明の主著『共同幻想論』に、鹿島茂が〈遡行読み〉という手法、またE・トッドらの家族人類学の最新の知見を武器に挑む!

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初出メディア

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毎日新聞 2026年7月4日

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