書評

『司法記者』(講談社)

  • 2020/08/26
司法記者 / 由良 秀之
司法記者
  • 著者:由良 秀之
  • 出版社:講談社
  • 装丁:単行本(282ページ)
  • 発売日:2011-10-28
  • ISBN-10:4062170132
  • ISBN-13:978-4062170130
内容紹介:
「最強の捜査機関」特捜部所属となり、建設汚職捜査に没頭する検事・織田。だが恫喝と暴力による取り調べやマスコミ癒着を知り、憧れの組織の実態に失望する。捜査から外れた矢先、女性司法記者の殺人事件が発生。織田は検事の直感から、単独捜査を決意した。元特捜弁護士がこの国の「正義」の暗部を暴く!

地検特捜部の知られざる内実

元検事の著者は、昨年来の地検特捜部の不祥事に触発されて、本書を書く決心をしたと推察できる。というのは、特捜部の捜査の実態を、ここまで赤裸々に書いた本は、ほとんどないからである。

ある司法記者のマンションで、競合紙の女性記者の死体が発見され、捜査が始まる。それと並行して、10カ月ほど前に起きた建設汚職事件に取り組む特捜検事たちの動きが描かれる。

若手検事の織田俊哉は、憧れて入った特捜部の捜査、取り調べの暴虐ぶりに愕然とする。そのやり方は、あらかじめでき上がった筋書きにそって無理やり事件を構築し、容疑者に自白を強要するひどいものだった……。織田は、その方針に従うことができず、結局、捜査からはずされる。

小説としても、ミステリーとしても弱点はあるが、特捜部の知られざる内実や、検事と司法記者との隠微な関係を暴露して、さすがに説得力がある。検察には耳の痛い、一気読みの力作だ。
司法記者 / 由良 秀之
司法記者
  • 著者:由良 秀之
  • 出版社:講談社
  • 装丁:単行本(282ページ)
  • 発売日:2011-10-28
  • ISBN-10:4062170132
  • ISBN-13:978-4062170130
内容紹介:
「最強の捜査機関」特捜部所属となり、建設汚職捜査に没頭する検事・織田。だが恫喝と暴力による取り調べやマスコミ癒着を知り、憧れの組織の実態に失望する。捜査から外れた矢先、女性司法記者の殺人事件が発生。織田は検事の直感から、単独捜査を決意した。元特捜弁護士がこの国の「正義」の暗部を暴く!

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2011年12月4日

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