魅力的な路地やお店が無数に広がっています。
ずっと暮らしている場所だけれど、
ちょっと歩けばいつだって新しい顔に出会えて、
どこか知らない街にいるような気分に浸ることができる。
そう、まるで小さな旅をしたような気分に。
さぁ、東京を歩いて、旅に出よう!
「東京を旅するようにあるいてみよう」 人気イラストレーターがガイド
「大人の街」、原宿。新しさと懐かしい姿を楽しむ、面影さんぽ。
小学生のころ、母と時おり表参道を散歩しました。「生活の木」、「オリエンタルバザー」、「クレヨンハウス」などを覗き、「同潤会青山アパート」を見下ろす一等地にあった「シャノアール」で休むのがいつものコース。中学の同級生とはじめてデートをしたときには、「表参道なら少しわかる」と背伸びして出かけました。はずかしくてどこのお店にも入れず、言葉少なにただ並木道を往復して、地元駅に帰ったっけ。
高校生になって「ラフォーレ原宿」のバーゲンに初参戦、大学生~20代のはじめは古着、雑貨屋さんめぐりに精を出しました。
思い出はたくさんあるけれど、表参道~青山は自分がいい歳になっても、いつまでも「大人の街」のイメージ。60年代半ばから流行の先端をいく街であることはもちろん、落ち着いたケヤキ並木のせいでしょうか。そしてあのころのままの、「憧れの街」の面影をつい探してしまいます。新しい顔と昔ながらの懐かしい姿を楽しむ、原宿散歩です。
個性豊かな個人店がひしめき合う、おもちゃ箱のような西荻窪。
西荻窪で特筆すべきは、雑貨屋さんのレベルの高さ。数多くの骨董店が並ぶ〝アンティークの街〟だったのが、さまざまなテイストの雑貨店が次々と参入。ますます充実したお買い物タウンになりました。雑貨店めぐりをするなら、6月はじめに開催される「西荻茶散歩」がおすすめ。約100店舗ものお店がお茶のサービスと、イベント用にスペシャルな企画を用意して迎えてくれます。茶散歩マップ片手にお店めぐりをする楽しさときたら。
12 月に開催される「ニシオギセカイツアー」は、12のお店ごとにテーマ国がわりふられ、展示販売会を開催。スタンプラリーについ熱中してしまう。
ほかにも朝市に夕市、来る人を楽しませる気満々のイベントが、今日もどこかで開催されています。
[書き手]杉浦さやか
イラストレーター。日本大学芸術学部在学中からイラストの仕事を始め、人気を集める。独特のタッチのイラストはもちろん、ほのぼのとしたエッセイが読者の熱烈な支持を得ている。著書に、『東京ホリデイ』『世界をたべよう! 旅ごはん』『すくすくスケッチ』(ともに祥伝社)、『おたのしみ歳時記』(ワニブックス)など。