前書き

『桐谷さんの株主優待のススメ』(祥伝社)

  • 2020/12/01
桐谷さんの株主優待のススメ / 桐谷 広人
桐谷さんの株主優待のススメ
  • 著者:桐谷 広人
  • 出版社:祥伝社
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(224ページ)
  • 発売日:2020-11-01
  • ISBN-10:4396617453
  • ISBN-13:978-4396617455
内容紹介:
コロナで激変した人気銘柄を総チェック!今こそ買うべき83銘柄+巻末付録20銘柄を紹介「定年後も安心。やっぱりこれが一番です」
2045年には、日本人の寿命は100歳を超えるといわれています。長生きはうれしいけれど、豊かに暮らす資金はどうしたらいいのでしょう? 年金だけでは不安ですよね? 安定した毎日のためには、どんな準備を始めたらいいのでしょう? 株主優待生活を続けている桐谷広人さんによれば、「やっぱり株主優待が一番。特に私のやり方は、少ない資金しかない人やリスキーな投資は嫌だという人にピッタリです」とのこと。コロナで激変した人気銘柄を総チェックして出版した『桐谷さんの株主優待のススメ 』の「はじめに」から、ご紹介します。

豊かで安定した毎日のために。やっぱり株主優待が一番です!

年金を頼りにしなくても豊かな生活を送れる方法

日本は世界に冠たる長寿国です。厚生労働省の「簡易生命表」(2019年)では、男性81・41歳、女性87・45歳と、平均寿命が過去最高を更新しました。仮に60歳でリタイアしたならば、その後20年以上もの長い年月が残されていることになります。それどころか、研究者の多くが、2045年には、日本人の平均寿命は100歳を超えると推測しているのです。

もちろん、長生きできるのは嬉しいことです。

しかし、その資金はどうすればいいのでしょう。

総務省の「家計調査年報」によれば、夫婦が老後に必要とするお金は、 平均で月に約28万円。25年間で計算すれば8400万円に上ります。ましてや、100歳までとなったら、軽く億を超えてしまうではありませんか。

このうち、年金だけではまかないきれない金額として、政府から具体的に2000万円という数字が出てきました。この「老後2000万円問題」は多くの人を困惑・混乱させましたが、私は2000万円でも到底、足りないと思っています。

そもそも、2000万円問題があろうとなかろうと、あてにならない年金だけでその資金をまかなうのは、非常に難しいことは言うまでもありません。私たちはもっと積極的に老後資金の確保に動く必要があります。

そこで本書では、私自身が行っている「原資を目減りさせずに豊かな生活を送る法」をお伝えしていきます。  その方法とは、ずばり「いい優待がついた株に分散投資する」というものです。リタイア世代にとって、これ以上の方法はないと私は確信しています。

 

現金はほとんど使わず、安価で優待品をかしこくゲット


ところが、「株」と聞いただけで多くの日本人が難色を示します。

「素人が手を出したら大やけどするのでは」

「株はギャンブルですよね」

「なにもかも失ってしまったらどうしよう」

なんだか、とても恐ろしい世界だと思い込んでいるようです。

たしかに、やりようによっては、株はリスキーです。過去に、山一證券や日本航空 など「これ以上、堅い会社はない」と思えるような企業が倒産しました。株によって大損した人たちがいるのも事実です。

でも、それは値上がり益(キャピタルゲイン)を狙った株式投資での話。値上がりを期待して買った株が、思惑とは逆に値下がりしてしまったから悲劇は起こるのです。

一方、「株主優待」に着目した私の手法は危険度ほぼゼロ。なぜなら、そもそも優待に力を入れている企業の株は、比較的、価格が安定しているからです。

詳しい内容は本文に譲りますが、値動きの少ない堅実な株を、安い価格で済む最小単位で買い、株主優待だけはしっかりゲットするというのが私の手法です。

私の場合、優待だけで生活に必要な衣食はまかなってしまい、現金はほとんど支出しません。だから原資は目減りしないどころか増え続けています。

なお、銘柄によっては配当(企業が得た利益の一部を株主へ還元するもの)も手にできます。配当と優待を合わせた「総合利回り4%以上」を目安にするというのが、私の鉄則です。

ただ、コロナの影響で、今はあまり配当が期待できない状況が続いています。一方で、やはりコロナの影響で、株価は低迷傾向にあり、今が買い時だとも言えます。

いずれにしても、優待目的の株は優待が受け取れていることが大事であり、あまり、世の中の状況やそれに伴う株価の変動に振り回されずに済むところがいいのです。

ただし「分散」は大事です。いくらいい株でも一極集中はリスクが高まりますから、いろいろな銘柄を少しずつ持つことをすすめます。

また、最近の傾向として「長期保有優遇」が増えています。

実は、空売りと現物買い(難しければ理解できなくて大丈夫です)の両方を行い、株価下落のリスクなしに優待品だけをもらおうという人がいるのです。企業はそれを阻止したいし、そもそも自社株を長く持っていてもらいたい。だから、1年は持っていないと優待が出ないなど、長期に保有しているほど優待内容が良くなっていくというケースも多くなっています。

 

優待株が私の人生を救ってくれた


実は、私がこの手法に行き着いたのは、過去に痛い経験をしているからです。

私は、プロの将棋棋士として活動していた頃から、徐々に株式投資を始めました。私には、もともと勝負師の血が流れているのでしょう。「ほどほどのところでやめる」ということができませんでした。

やがて、資産のすべてを株に費やすようになりました。しかも、当時はもっぱら値上がり益を狙っていたのです。

そんな中、2006年、堀江貴文氏や村上世彰氏の逮捕によってマザーズの保有株が紙切れ同然になりました(平均で10分の1に値下がり)。続く2007年のサブプラ イム問題、2008年のリーマン・ショックで東証1部の保有株も暴落しました。

リスキーな信用取引を行っていた私は、株価の値下がりによって、毎日200万円、300万円といったお金を支払わねばなりません。夜も寝られず、食事も喉を通らず、糖尿病が悪化して、医者が「生きているのが不思議だ」と驚く状態にまで追い詰められました。

あまり損失の出ていない株はすべて売り、信用取引の損失の支払いにあてました。その結果、株価が下がり、売っても大してお金にならない株ばかりが手元に残りました。

ただ、その株のなかに優待のつくものが結構ありました。現金がまったくない私は、優待で送られてきた米やレトルト食品を食べ、優待券で買った服を着てなんとか生き延びることができたのです。

このときの経験から、私は優待株(株主優待に力を入れている企業の株)の素晴らしさに目覚め、今ではもっぱら優待株専門に投資しています。

その結果、値上がり益を狙っていた頃とはまったく別の、懐も心も豊かで安定した株主生活を送ることができています。

 

私の方法は、少ない資金しかない人や、リスキーな株式投資は嫌だと感じている人にこそぴったりです。リタイアした世代はもちろんのこと、若い人たちにも、本書の手法で私と同様の幸せを手にしていただけたらと願っています。

 

[書き手]桐谷広人(きりたに・ひろと)
365日株主優待で暮らす株主優待家。プロ棋士七段。現役時代は「コンピューター桐谷」の異名を持つ。1984年、東京証券協和会将棋部の師範をしていたことをきっかけに、株と出会う。独学で株を学び、リーマン・ショックの前は時価総額3億円の金融資産を保有していた。現在は株主優待のある銘柄を中心に運用し、現金をほとんど使わない生活を続けている。テレビや雑誌、講演活動を中心に活躍中。著書に『桐谷さんの株主優待ライフ』などがある。1949年10月15日、広島県竹原市生まれ。
桐谷さんの株主優待のススメ / 桐谷 広人
桐谷さんの株主優待のススメ
  • 著者:桐谷 広人
  • 出版社:祥伝社
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(224ページ)
  • 発売日:2020-11-01
  • ISBN-10:4396617453
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コロナで激変した人気銘柄を総チェック!今こそ買うべき83銘柄+巻末付録20銘柄を紹介「定年後も安心。やっぱりこれが一番です」

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