書評

『「エンジンのないクルマ」が変える世界: EVの経営戦略を探る』(日経BPマーケティング(日本経済新聞出版)

  • 2024/10/12
「エンジンのないクルマ」が変える世界: EVの経営戦略を探る / 大久保 隆弘
「エンジンのないクルマ」が変える世界: EVの経営戦略を探る
  • 著者:大久保 隆弘
  • 出版社:日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
  • 装丁:単行本(191ページ)
  • 発売日:2009-10-01
  • ISBN-10:4532490677
  • ISBN-13:978-4532490676
内容紹介:
EV(電気自動車)の本格普及が始まる。EVは我々の生活、社会、産業をどう変えるのか。ハイブリッド車や燃料電池車はどうなるのか。グリーン革命の最大の関心事、EV関連メーカーの経営戦略を豊富… もっと読む
EV(電気自動車)の本格普及が始まる。EVは我々の生活、社会、産業をどう変えるのか。ハイブリッド車や燃料電池車はどうなるのか。グリーン革命の最大の関心事、EV関連メーカーの経営戦略を豊富な取材で解明する。

目次
プロローグ モデル“T”とEV
第1章 EV―起死回生のイノベーション
第2章 エンジンをなくした電池
第3章 EVが変えるモノづくり
第4章 EVの市場戦略
エピローグ 「エンジンのないクルマ」が変える世界
いよいよEVの時代来る

人後に落ちない自動車運転好きの私が吃驚仰天しているのは、今年になってからの、電気自動車(EV)へのシフトの顕在化である。

そこで、ごく最近刊行された『「エンジンのない車」が変える世界』という本を一読するに及んで、これは容易ならぬ時代に際会しているのだということを悟った。

EVならばガソリンスタンドは要らない。家庭電源で充電しておけばよい。現実的な航続距離は一日80キロもあれば大半の人には十分なのだという。仮にガソリンスタンドならぬ「充電スタンド」というものを考えると、高圧電源を使用する高速充電器は一基350万円程度で買えるのだそうだ。となれば、たとえば公共駐車場やコンビニの駐車場にこれを設置すれば、おそらく簡単にインフラ整備が進むに違いない。

まさかこれほどの速度で進むと思わなかった携帯電話のための中継インフラが、唖然とするほど急速に出来てしまったことを思うと、既に電気は日本全国津々浦々にネットワークされているのだから、さまで大力を用いずとも、充電インフラは容易に整備されるに違いない。

さらには、仮に、太陽・風力発電などを家庭に普及させて、EVと組み合わせると、巨大な容量の蓄電池を内蔵するEVはまた一面、家庭用蓄電設備=予備電源としても利用できるということになる。

問題は、日本が技術的に先行していても、政府や行政に「産業戦略」の力が無いことだ。事業仕分けもいいけれど、今目前に進行しつつあるこの「第二の産業革命」で、舵取りを失敗すれば国家存亡の危機になる。そのことを考えるよすがとしても、諸人よろしく本書を熟読すべく、これまさに警世の好著にして、じつに目から鱗の思いを味わった。
「エンジンのないクルマ」が変える世界: EVの経営戦略を探る / 大久保 隆弘
「エンジンのないクルマ」が変える世界: EVの経営戦略を探る
  • 著者:大久保 隆弘
  • 出版社:日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
  • 装丁:単行本(191ページ)
  • 発売日:2009-10-01
  • ISBN-10:4532490677
  • ISBN-13:978-4532490676
内容紹介:
EV(電気自動車)の本格普及が始まる。EVは我々の生活、社会、産業をどう変えるのか。ハイブリッド車や燃料電池車はどうなるのか。グリーン革命の最大の関心事、EV関連メーカーの経営戦略を豊富… もっと読む
EV(電気自動車)の本格普及が始まる。EVは我々の生活、社会、産業をどう変えるのか。ハイブリッド車や燃料電池車はどうなるのか。グリーン革命の最大の関心事、EV関連メーカーの経営戦略を豊富な取材で解明する。

目次
プロローグ モデル“T”とEV
第1章 EV―起死回生のイノベーション
第2章 エンジンをなくした電池
第3章 EVが変えるモノづくり
第4章 EVの市場戦略
エピローグ 「エンジンのないクルマ」が変える世界

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