いよいよEVの時代来る
人後に落ちない自動車運転好きの私が吃驚仰天しているのは、今年になってからの、電気自動車(EV)へのシフトの顕在化である。
そこで、ごく最近刊行された『「エンジンのない車」が変える世界』という本を一読するに及んで、これは容易ならぬ時代に際会しているのだということを悟った。
EVならばガソリンスタンドは要らない。家庭電源で充電しておけばよい。現実的な航続距離は一日80キロもあれば大半の人には十分なのだという。仮にガソリンスタンドならぬ「充電スタンド」というものを考えると、高圧電源を使用する高速充電器は一基350万円程度で買えるのだそうだ。となれば、たとえば公共駐車場やコンビニの駐車場にこれを設置すれば、おそらく簡単にインフラ整備が進むに違いない。
まさかこれほどの速度で進むと思わなかった携帯電話のための中継インフラが、唖然とするほど急速に出来てしまったことを思うと、既に電気は日本全国津々浦々にネットワークされているのだから、さまで大力を用いずとも、充電インフラは容易に整備されるに違いない。
さらには、仮に、太陽・風力発電などを家庭に普及させて、EVと組み合わせると、巨大な容量の蓄電池を内蔵するEVはまた一面、家庭用蓄電設備=予備電源としても利用できるということになる。
問題は、日本が技術的に先行していても、政府や行政に「産業戦略」の力が無いことだ。事業仕分けもいいけれど、今目前に進行しつつあるこの「第二の産業革命」で、舵取りを失敗すれば国家存亡の危機になる。そのことを考えるよすがとしても、諸人よろしく本書を熟読すべく、これまさに警世の好著にして、じつに目から鱗の思いを味わった。