書評

『賢い芸人が焼き肉屋を始める理由 投資嫌いのための「和風」資産形成入門』(講談社)

  • 2024/09/28
賢い芸人が焼き肉屋を始める理由 投資嫌いのための「和風」資産形成入門 / 岡本 和久
賢い芸人が焼き肉屋を始める理由 投資嫌いのための「和風」資産形成入門
  • 著者:岡本 和久
  • 出版社:講談社
  • 装丁:新書(189ページ)
  • 発売日:2011-01-21
  • ISBN-10:4062726971
  • ISBN-13:978-4062726979
内容紹介:
積立投資で「経済的な独立」を手に入れる日本人が投資に向いてないって誰が決めた?世界中で実践! 安定・確実な収益を実現する年金運用のプロのノウハウが90分でわかる芸能人の場合、人気さ… もっと読む
積立投資で「経済的な独立」を手に入れる
日本人が投資に向いてないって誰が決めた?
世界中で実践! 安定・確実な収益を実現する年金運用のプロのノウハウが90分でわかる

芸能人の場合、人気さえ出れば、短期間のうちに大きなお金を稼ぐことができますが、稼げる時間はきわめて短いものです。だからこそ、お店を開業するなど副業に手を染め、自分の人気が落ちたときでも多少のお金を稼げる手段を作っておきます。これに対してサラリーマンの場合、芸能人のように大きなお金を稼ぐことはできませんが、芸能人に比べればまだ職も収入も安定しています。終身雇用制度が崩壊し、リスクが上がったとはいえ、まだサラリーマンは「時間」を味方につけることができます。だからこそ毎月、少しずつでも、銀行に貯金をするような感覚で、「まさか」のときに備えて、積立投資信託でコツコツと長期的に資産形成をしていくべきなのです。

●芸能人化するサラリーマンの人生
●なぜ日本人は短期志向になったか
●英語には4つの「投資」がある!
●日本人は投資に向かないの?
●投資嫌いは言い訳だった?
●日本人全員がすでに「投資家」
●欧米風の投資は日本人に合わない
●「イスラム金融」というヒント
●「100-年齢」という目安
●積立投資はサラリーマンの味方

今からでも遅くない

『賢い芸人が焼き肉屋を始める理由』を読んだ。これがとても良い本であった。世界的な経済アナリスト岡本和久さんの新著だが、「どのようにお金とつきあったら人間は幸福になれるのか」がこの本の主題である。その立脚点は、ひとことでいえば「投資のモラル」だ。せわしなく売り買いを交錯させて利ざやを稼いでも人は幸福にはなれぬ。そうじゃなくて、真面目で有望な企業に、その運転資金を少しずつでも託して、長い長い目でその企業たちを見守り育て、二十年三十年先に、企業も栄え、自分もリーズナブルなリターンを得る。それが本当の資本主義のモラルだというのである。

「個人の資産形成は、あくまで働いてお金を稼ぐことによって行うのが本分であって、投資はそれを支えるものにすぎません」と著者は言う。そして、よりよい人生のためには「足るを知るという発想が必要になってくる」と江戸時代の心学者にも近い一見古風な哲学を鼓吹するのだが、それこそは世界を荒らし回っている資本原理主義との対極に立つ穏健で共栄的な日本的資本主義をめざそうとする思想であって、古いようで実はそれが一番新しい考えであるに違いない。で、著者は、六つの「富(ふ)」というのを提唱する。

1,フィナンシャル・アセット(金融資産)

2,フィットネス(健康)

3,ファミリー(家族)

4,フレンド(友人)

5,ファン(趣味)

6,フィランソロピー(社会貢献)

金を儲けるのが人生ではなくて、幸福を富ましめるのこそ人生、今からでも遅くはない、と背中を押された気がした。
賢い芸人が焼き肉屋を始める理由 投資嫌いのための「和風」資産形成入門 / 岡本 和久
賢い芸人が焼き肉屋を始める理由 投資嫌いのための「和風」資産形成入門
  • 著者:岡本 和久
  • 出版社:講談社
  • 装丁:新書(189ページ)
  • 発売日:2011-01-21
  • ISBN-10:4062726971
  • ISBN-13:978-4062726979
内容紹介:
積立投資で「経済的な独立」を手に入れる日本人が投資に向いてないって誰が決めた?世界中で実践! 安定・確実な収益を実現する年金運用のプロのノウハウが90分でわかる芸能人の場合、人気さ… もっと読む
積立投資で「経済的な独立」を手に入れる
日本人が投資に向いてないって誰が決めた?
世界中で実践! 安定・確実な収益を実現する年金運用のプロのノウハウが90分でわかる

芸能人の場合、人気さえ出れば、短期間のうちに大きなお金を稼ぐことができますが、稼げる時間はきわめて短いものです。だからこそ、お店を開業するなど副業に手を染め、自分の人気が落ちたときでも多少のお金を稼げる手段を作っておきます。これに対してサラリーマンの場合、芸能人のように大きなお金を稼ぐことはできませんが、芸能人に比べればまだ職も収入も安定しています。終身雇用制度が崩壊し、リスクが上がったとはいえ、まだサラリーマンは「時間」を味方につけることができます。だからこそ毎月、少しずつでも、銀行に貯金をするような感覚で、「まさか」のときに備えて、積立投資信託でコツコツと長期的に資産形成をしていくべきなのです。

●芸能人化するサラリーマンの人生
●なぜ日本人は短期志向になったか
●英語には4つの「投資」がある!
●日本人は投資に向かないの?
●投資嫌いは言い訳だった?
●日本人全員がすでに「投資家」
●欧米風の投資は日本人に合わない
●「イスラム金融」というヒント
●「100-年齢」という目安
●積立投資はサラリーマンの味方

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