書評

『ガラスの煉獄―女刑務官あかね』(新潮社)

  • 2017/11/27
ガラスの煉獄―女刑務官あかね / 壇上 志保
ガラスの煉獄―女刑務官あかね
  • 著者:壇上 志保
  • 出版社:新潮社
  • 装丁:単行本(303ページ)
  • ISBN:4103273216
内容紹介:
受刑者が密かに発信した暗号文。あかねのアンテナが震えた。女子刑務所のガラス工房で、何かが謀られている…。あかねが立ち上げたその工房は、一人の天才受刑者トモの出現で上層部を色めきたたせた。ガラス製品の流通に見え隠れする北朝鮮の影。そして県警の絡む不可解な策動。思いもよらぬ「情報」が一瞬にして悲劇の引鉄をひいた。あかねは、トモとガラスを守り切れるのか…。元刑務官が描く女子刑務所、究極のリアル。戦慄のインテリジェンス長篇小説。

知られざる女子刑務所の内実

〈超大型新人、ミステリ界に降臨〉〈受刑者が密(ひそ)かに発信した暗号文〉〈県警の絡む不可解な策動〉といった帯の惹句(じゃっく)は、刑務所を舞台にしたミステリーを思わせるが、この作品はそれほど単純な小説ではない。

北九州の女子刑務所で、作業課の刑務官を務める三上茜(あかね)は、食器や花器などのガラス製品を作る、受刑者のガラス作業の監督、指導を行っている。元刑務官という著者は、女子刑務所の組織やしきたり、部署間の協力と対立の図式、受刑者同士の複雑な確執など、一般に知られていない情報を盛り込みつつ、テンポよく話を進めていく。

茜は、指導教官だった木島浩二、そして幼なじみの在日朝鮮人女性江崎涼と、それぞれ秘密の関係を持っている。日常の仕事とともに、茜の私生活が並行して描かれるが、話が唐突に過去にもどるため、読みにくいのが難点。木島よりも、涼と茜の愛憎半ばする関係が核になり、ガラス作業を巡る事件はむしろ従、といってよい。在日朝鮮人問題、男女関係への切り込みも少々物足りない。とはいえ、経験を踏まえた叙述には独特の粘りがあり、豊かな筆力を感じさせる。
ガラスの煉獄―女刑務官あかね / 壇上 志保
ガラスの煉獄―女刑務官あかね
  • 著者:壇上 志保
  • 出版社:新潮社
  • 装丁:単行本(303ページ)
  • ISBN:4103273216
内容紹介:
受刑者が密かに発信した暗号文。あかねのアンテナが震えた。女子刑務所のガラス工房で、何かが謀られている…。あかねが立ち上げたその工房は、一人の天才受刑者トモの出現で上層部を色めきたたせた。ガラス製品の流通に見え隠れする北朝鮮の影。そして県警の絡む不可解な策動。思いもよらぬ「情報」が一瞬にして悲劇の引鉄をひいた。あかねは、トモとガラスを守り切れるのか…。元刑務官が描く女子刑務所、究極のリアル。戦慄のインテリジェンス長篇小説。

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2010年10月31日

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