佐宗氏は戦略デザインファームBIOTOPEの代表。企業経営戦略のプロだ。創業から一段落すると社員らが辞め、危機を迎えた。この会社は存在すべきか。苦悶と格闘の中から生まれたのが本書だという。
業績が伸びて儲かればいい。そんな経営はもう時代遅れだ。株主中心主義からステークホルダー資本主義へ。《顧客・従業員・株主・パートナー企業・地域コミュニティ・環境(や将来の世代)》の《6種類のステークホルダーを重視》しよう。その「パーパス経営」をもう一歩進めたのが「理念経営2・0」だ。
働く意味とは? 《企業は…「生計を立てる場」である以上に、「意義をつくる場」になっていく》。その意義を語る言葉を磨こう。本書の提案だ。ビジョン/バリュー/ミッション・パーパス/ナラティブ/ヒストリー/カルチャー/エコシステムの7章が、理念を語る言葉の見つけ方を手取り足取りガイド。経営者と従業員が協力し、会社の存在理由を再発見するプログラムである。
よくできた書物ではある。企業はいま、そこまで意義があやふやなのか。経済を包む空虚と働く人びとの生きづらさを思うと悩みは深い。