書評

『これが論点! 就職問題』(日本図書センター)

  • 2017/09/30
これが論点! 就職問題 / 児美川 孝一郎
これが論点! 就職問題
  • 著者:児美川 孝一郎
  • 出版社:日本図書センター
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(290ページ)
  • 発売日:2012-04-20
  • ISBN:4284305956
内容紹介:
「就職」の何が問題なのか。『中央公論』『Voice』などの論壇誌から、『週刊東洋経済』『エコノミスト』などの経済誌まで、重要論文・対談を22本収録。

就職難の若者に席を譲ろう

警察庁の統計によると、就職の失敗を理由に自殺した30歳未満の若者は、2010年が159人、2011年は150人。たかが就職ぐらいで死ぬなんて、と思うのは最近の就活事情を知らない人だ。就活の期間は長く、受ける会社の数が30社以上という学生も少なくない。30もの会社から不採用を告げられれば「自分は世の中から必要とされていない」と絶望するのも無理はない。ぼくなら病気になるか暴れている。

児美川孝一郎編『これが論点!就職問題』は、新卒の就職に関する問題を網羅した論文集。いわゆる「リーディングス」である。編者は法政大学キャリアデザイン学部の教授だ。

驚いた。一口に就職問題といっても、立場によってこんなに見方が違うとは! 新卒一括採用・終身雇用・年功序列といった日本型雇用システムが時代に合わなくなったからという説。大学生が増えすぎたからという説。学生の希望と企業のニーズが合わないミスマッチが起きているからという説。企業が人を使い捨てにするブラック企業化したからだという説。

たぶん載っているどの説もそれぞれ正しく、それぞれ何かが欠けているのではないか。はっきりしているのは、悲惨な状況を劇的に変えるような妙案は簡単に見つかりそうにないということだ。

安心して長く働けそうに(学生の目には)見える企業の椅子の数が、学生の数に比べると圧倒的に少ない。学生にできるのは希望のランクを下げることだけ。あるいはあきらめるか。

……といいながら、じつはぼくにはいいプランがある。定年をうんと前倒ししてはどうだろう。たとえば55歳定年にする。そのぶん新卒採用を増やせばいい。定年後も働きたい人は、アルバイトとして働けばいい。老人は若者に席を譲ろう。

ぼくも来年は55歳になる。若者への席の譲りかたについてまじめに考えなければならない。
これが論点! 就職問題 / 児美川 孝一郎
これが論点! 就職問題
  • 著者:児美川 孝一郎
  • 出版社:日本図書センター
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(290ページ)
  • 発売日:2012-04-20
  • ISBN:4284305956
内容紹介:
「就職」の何が問題なのか。『中央公論』『Voice』などの論壇誌から、『週刊東洋経済』『エコノミスト』などの経済誌まで、重要論文・対談を22本収録。

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初出メディア

週刊朝日

週刊朝日 2012年6月8日

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