書評

『戦争をやめた人たち -1914年のクリスマス休戦-』(あすなろ書房)

  • 2024/06/27
戦争をやめた人たち -1914年のクリスマス休戦- / 鈴木 まもる
戦争をやめた人たち -1914年のクリスマス休戦-
  • 著者:鈴木 まもる
  • 出版社:あすなろ書房
  • 装丁:-(32ページ)
  • 発売日:2022-05-18
  • ISBN-10:4751531131
  • ISBN-13:978-4751531136
内容紹介:
1914年、第一次世界大戦が始まった。ドイツ、オーストリアなどの同盟国軍とイギリス、日本などの連合国軍との戦いだ。戦渦のクリスマスイブの夜、戦場に銃声の代わりに「クリスマスキャロル」… もっと読む
1914年、第一次世界大戦が始まった。ドイツ、オーストリアなどの同盟国軍とイギリス、日本などの連合国軍との戦いだ。
戦渦のクリスマスイブの夜、戦場に銃声の代わりに「クリスマスキャロル」の歌声が流れるという「奇跡」が起こる。
戦争を始める人もいれば戦争をやめる人もいる。人に対する想像力と行動する勇気の大切さを描き、どうすれば戦争をしない人になるのか、その答えがこの絵本にある。
作者が絵本の最後の絵を描いていた2022年2月25日、ロシアがウクライナに侵攻を始めるという、運命的な絵本となった。これからの未来をどう生きるべきか、戦争が現実に起こっている今だからこそ読みたい絵本。

<以下、作者のあとがきより>この絵本の「あとがき」の絵を描いている時に、プーチン大統領のウクライナ侵攻が始まりました。まだ「戦争」を始める人間がいる現実に愕然としつつ、戦争よりも強い、人のやさしさと想像力を描きたくて絵を完成させました。
一度始めてしまった戦争をやめることがどれほど大変か。ロシアのウクライナ侵攻の現状を見ての実感であり、本書の小さな実例から何かを学びたいと思う。

1914年7月に始まった第一次世界大戦で、フランス、ベルギーに攻めこむドイツ軍をイギリス軍が迎えうつ最前線でのことだ。12月24日の夜、鉄条網を挟む二つの塹壕(ざんごう)からクリスマスの歌が響き、いつしか一緒に歌っていたという。翌朝ドイツの塹壕から武器を持たず手を上げた兵士が歩き出し、それに応えてイギリス側の若い兵士が出て行った。二人の握手をきっかけに皆がメリークリスマスと握手をし、上着をまるめて作ったボールでサッカーが始まった。その後4年間も続いた戦争の中で、彼らは撃ち合いを避けたという。

敵と思っていた相手が音楽やスポーツを愛する同じ仲間であることに気づいて戦争をやめた人たちがいるのに、なぜそれが大きなうねりになって地球上から戦争をなくせないのか。世界中の人がつながり合う社会になった今、戦争ほど非現実的なことはないと分かっているのに。絵本の中の若い兵士の顔を見ながら考えている。
戦争をやめた人たち -1914年のクリスマス休戦- / 鈴木 まもる
戦争をやめた人たち -1914年のクリスマス休戦-
  • 著者:鈴木 まもる
  • 出版社:あすなろ書房
  • 装丁:-(32ページ)
  • 発売日:2022-05-18
  • ISBN-10:4751531131
  • ISBN-13:978-4751531136
内容紹介:
1914年、第一次世界大戦が始まった。ドイツ、オーストリアなどの同盟国軍とイギリス、日本などの連合国軍との戦いだ。戦渦のクリスマスイブの夜、戦場に銃声の代わりに「クリスマスキャロル」… もっと読む
1914年、第一次世界大戦が始まった。ドイツ、オーストリアなどの同盟国軍とイギリス、日本などの連合国軍との戦いだ。
戦渦のクリスマスイブの夜、戦場に銃声の代わりに「クリスマスキャロル」の歌声が流れるという「奇跡」が起こる。
戦争を始める人もいれば戦争をやめる人もいる。人に対する想像力と行動する勇気の大切さを描き、どうすれば戦争をしない人になるのか、その答えがこの絵本にある。
作者が絵本の最後の絵を描いていた2022年2月25日、ロシアがウクライナに侵攻を始めるという、運命的な絵本となった。これからの未来をどう生きるべきか、戦争が現実に起こっている今だからこそ読みたい絵本。

<以下、作者のあとがきより>この絵本の「あとがき」の絵を描いている時に、プーチン大統領のウクライナ侵攻が始まりました。まだ「戦争」を始める人間がいる現実に愕然としつつ、戦争よりも強い、人のやさしさと想像力を描きたくて絵を完成させました。

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2022年6月18日

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