インクルージョンは排除の反対。障害があっても誰でも仲間だ。著者はそれを実践。ホームレスら≪いと小さき者≫たちと生きた牧師だ。
著者はキリスト教を批判する。軍部におもねり戦争に協力した。障害者を差別した。その過去を反省していない。日本基督教団は大政翼賛会の一部だった。「戦時布教指針」はいう、≪大東亜戦争の目的完遂に邁進≫≪忠君愛国の精神の涵養に努め…滅私奉公の実践者たらしむる≫。教団は一九六七年「戦争責任告白」を発表したが内部に反対もあった。
障害者の洗礼も拒否した。使徒パウロが「口でイエスを主であると言い表す」のが信仰告白だとしたからだ。イエスの教えに反している、と障害者教育を担った著者は言う。
仏教も同罪だ。因果論に立ち、障害は本人の前世か家族が原因だとした。なおさら障害者を苦しめた。殺生戒に背いて≪殺せ、大(おおい)に殺せ≫と書く僧もいた。≪ほとんどの宗派が積極的に…戦時協力した≫のだ。
本書の勇気ある告発を「排除」するなら、そんな宗教に未来はない。口だけでない著者の実践に敬服だ。