書評

『おらおらでひとりいぐも』(河出書房新社)

  • 2024/11/29
おらおらでひとりいぐも / 若竹 千佐子
おらおらでひとりいぐも
  • 著者:若竹 千佐子
  • 出版社:河出書房新社
  • 装丁:文庫(192ページ)
  • 発売日:2020-06-24
  • ISBN-10:430941754X
  • ISBN-13:978-4309417547
内容紹介:
24歳の秋、故郷を飛び出した桃子さん。住み込みのバイト、周造との出会いと結婚、2児を必死に育てた日々、そして夫の突然の死―。70代、いまや独り茶を啜る桃子さんに、突然ふるさとの懐かしい… もっと読む
24歳の秋、故郷を飛び出した桃子さん。住み込みのバイト、周造との出会いと結婚、2児を必死に育てた日々、そして夫の突然の死―。70代、いまや独り茶を啜る桃子さんに、突然ふるさとの懐かしい言葉で、内なる声たちがジャズセッションのように湧いてくる。おらはちゃんとに生ぎだべか?悲しみの果て、辿り着いた自由と賑やかな孤独。すべての人の生きる意味を問う感動のベストセラー。

古層に眠る自己動かす言葉

第54回文藝賞受賞作。話題の「玄冬」小説だ。玄冬、つまり、青春の対極。年を重ね、子育ても終わり、老いと向き合った女性の一人語りという形式をとっている。

だがそう要約してしまうと、この小説の美点が消えてしまう。何よりも主人公の桃子さんが魅力的だ。74歳になる彼女は、15年前、夫の周造を亡くしている。悲しみの淵に沈み込む彼女の中に、「おら」という一人称が甦(よみがえ)る。「わたし」という衣装のような自分ではなく、自分の古層に眠っていた自己が動き出す。「喋れ、喋ってみろ」という声に押されるように、桃子さんは東北の言葉で語り出す。

見事な完成度の小説。生きる力に溢れているデビュー作。
おらおらでひとりいぐも / 若竹 千佐子
おらおらでひとりいぐも
  • 著者:若竹 千佐子
  • 出版社:河出書房新社
  • 装丁:文庫(192ページ)
  • 発売日:2020-06-24
  • ISBN-10:430941754X
  • ISBN-13:978-4309417547
内容紹介:
24歳の秋、故郷を飛び出した桃子さん。住み込みのバイト、周造との出会いと結婚、2児を必死に育てた日々、そして夫の突然の死―。70代、いまや独り茶を啜る桃子さんに、突然ふるさとの懐かしい… もっと読む
24歳の秋、故郷を飛び出した桃子さん。住み込みのバイト、周造との出会いと結婚、2児を必死に育てた日々、そして夫の突然の死―。70代、いまや独り茶を啜る桃子さんに、突然ふるさとの懐かしい言葉で、内なる声たちがジャズセッションのように湧いてくる。おらはちゃんとに生ぎだべか?悲しみの果て、辿り着いた自由と賑やかな孤独。すべての人の生きる意味を問う感動のベストセラー。

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初出メディア

日本経済新聞

日本経済新聞 2017年11月30日

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