書評

『浦からマグノリアの庭へ』(白水社)

  • 2026/08/25
浦からマグノリアの庭へ / 小野 正嗣
浦からマグノリアの庭へ
  • 著者:小野 正嗣
  • 出版社:白水社
  • 装丁:単行本(261ページ)
  • 発売日:2010-08-25
  • ISBN-10:4560080860
  • ISBN-13:978-4560080863
内容紹介:
美しく咲くマグノリアの大きな庭で、僕は故郷についての小説を書き始めた――ブリリアントな作品で注目を集める作家・小野正嗣が初めて贈る待望の「自伝的エッセイ+文学論」集成!

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

ユーモアたっぷりに文学語る

作家であり、フランス語圏文学の研究者である小野正嗣、初のエッセイ集である。

あまり大声では言えないが、小野さんは快活な人である。冗談、ギャグ、ボケを連発する。個人的なつきあいの中に見える彼の人格的な面白さは、じつは彼の小説には、それほど投影されていない。彼の小説は、たくらみに満ちているし、小説言語に対する厳しい視線が内在しているからだろう。

できれば彼のキャラの面白さが発揮された文章を読んでみたい、とつねづね思っていた。そしてエッセイにはそれが存分に示されていると思う。楽しい読書だった。

なによりも、「浦からマグノリアの庭へ」という、表題にもなっているエッセイから読まれたい。

大分県の「浦」のついた土地に生まれ、東京の大学へ進み、フランスへ留学し、小説を書く。郊外に留まり、「暴動」を呼吸する。そうした一連の流れが、独特の諧謔(かいぎゃく)を伴って記述されている。幾度も腹を抱えて笑った。また、不意を突かれて考え込んだ。

これだけ広範な知識を有し、自在に文学を語ることができる人間が、いまどき他に何人いるだろう。
浦からマグノリアの庭へ / 小野 正嗣
浦からマグノリアの庭へ
  • 著者:小野 正嗣
  • 出版社:白水社
  • 装丁:単行本(261ページ)
  • 発売日:2010-08-25
  • ISBN-10:4560080860
  • ISBN-13:978-4560080863
内容紹介:
美しく咲くマグノリアの大きな庭で、僕は故郷についての小説を書き始めた――ブリリアントな作品で注目を集める作家・小野正嗣が初めて贈る待望の「自伝的エッセイ+文学論」集成!

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初出メディア

日本経済新聞

日本経済新聞 2010年9月15日

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