1935(昭和10)年、東京生れ。早稲田大学文学部卒。国立国会図書館に勤務しながら執筆活動を続け、1978年『冷蔵庫より愛をこめて』でデビュー。1979年「来訪者」で日本推理作家協会賞、短編集『ナポレオン狂』で直木賞、1995(平成7)年『新トロイア物語』で吉川英治文学賞を受賞。他に『ギリシア神話を知っていますか』『…もっと読む
- 『秀吉はいつ知ったか』(筑摩書房)阿刀田 高
山田流突飛な発想、歴史考察が出色 短いエッセーを読むのが好きだ。とりわけ強記博覧の作家の筆によるもの。私の場合は(失礼ながら)たいていはト…
書評 - 『院長の恋』(文藝春秋)阿刀田 高
手だれの筆で人生描く快い短編集 50代、60代の主婦層には小説のファンが多い。広く接してみると、とても熱心に読んでいる。好みは男性や若い人とは…
書評 - 『菊池寛急逝の夜』(中央公論新社)阿刀田 高
親族だけが知る「特別な人物」の像 海のように茫漠として大きい菊池寛について(その実、入念で合理的な性格をもあわせ持っていたのだが)本書は直…
書評 - 『デンデラ』(新潮社)阿刀田 高
老婆たち獅子奮迅、闘いの果ては 冒頭に登場人物の一覧表がある。総勢50人。年齢が記されていて、70から100まで。これを見ただけで、――すごいぞ――尋…
書評 - 『新潮選書 手妻のはなし 失われた日本の奇術』(新潮社)阿刀田 高
西洋とは異なる独自の技芸本を開くと、前口上として“手妻とは日本人が考え、独自に完成させたマジックの事だ”とあり、さらに“幕末に日本にやって来…
書評 - 『ボリス・ヴィアン伝』(国書刊行会)阿刀田 高
短くも多彩な生涯を詳しくこのほどフランスの文芸出版の雄ガリマール社がその古典叢書(そうしょ)にボリス・ヴィアン(1920~59)の作品を加えると…
書評 - 『親子三代、犬一匹』(朝日新聞出版)阿刀田 高
小説を読むとき、書くとき、私はテーマとモチーフとを考える。テーマは歴(れっき)とした文芸用語だろうがモチーフは我流の言葉遣いかもしれない。…
書評 - 『狙われたキツネ 新装版』(三修社)阿刀田 高
ヘルタ・ミュラーはルーマニア生まれの女性作家、2009年のノーベル文学賞の受賞者である。本書はその代表作の一つと見てよいだろう。ルーマニアはか…
書評 - 『白い城』(藤原書店)阿刀田 高
絡みあう二つの人格、私とは?トルコの現代小説を読んだことがなかった。オルハン・パムクはイスタンブール生まれの人気作家で、2006年にはノーベル…
書評 - 『誰かがそれを』(講談社)阿刀田 高
見る目の確かさ、筆致の巧みさ久しぶりに編まれたこの作家の短編集である。八編が収められているが初出の文芸誌にはばらつきがあるし、執筆の時期に…
書評 - 『ボート』(新潮社)阿刀田 高
核心は読者に委ね、読みごたえ著者はベトナム生まれ、戦後の混乱を逃れ、ボートピープルとしてマレーシアへ、ついでオーストラリア・メルボルンに渡…
書評 - 『ボローニャ紀行』(文藝春秋)阿刀田 高
理屈抜き、つい、つい、行きたくなるかつて「ローマの休日」という映画があった。オードリー・ヘプバーンを一躍銀幕の大スターにおしあげた名作であ…
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