
文筆家。1980年代初頭にニューヨークに滞在、文章を書きはじめる。小説、エッセイ、批評など、ジャンルを横断して執筆。書評の執筆も多く、書評集に『読めばだれかに語りたくなる』がある。小説作品には『図鑑少年』『随時見学可』『鼠京トーキョー』『間取りと妄想』などが、写真関係の著書には『彼らが写真を手にした切…もっと読む
- 『須賀敦子の手紙 1975―1997年 友人への55通』(つるとはな)大竹 昭子
「語り」聞こえるまろやかな直筆最初の著作が出たのが六十一歳、八年後に他界し、生前の著書はわずか五冊。にもかかわらず、没後に書簡と日記と詳細…
書評 - 『未成年』(新潮社)大竹 昭子
「意思」と「生命」、尊重すべきはイギリスを代表する小説家イアン・マキューアンは、次はどんなテーマで来るかと毎度固唾(かたず)を飲ませる人で…
書評 - 『その姿の消し方』(新潮社)大竹 昭子
古い絵はがきの詩、片恋に似て南仏の古物市で「私」は古い絵はがきを見つける。通信欄に私信はなく、抽象的な詩だけが書かれている。しかも送り主は…
書評 - 『洗礼ダイアリー』(ポプラ社)大竹 昭子
自意識を振り払う、詩人の挑戦初対面の人が「音楽やってます」と自己紹介したら親しみを持つけれど、「詩を書いてます」だったら一瞬、言葉に詰まる…
書評 - 『ウインドアイ』(新潮社)大竹 昭子
謎めいた人間の真実を凝視体を一つの容れ物とみなすなら、そこに収まっている器官や心は私の持ち物であり、それを扱う主人は自分であると思って私た…
書評 - 『ゲルダ――キャパが愛した女性写真家の生涯』(祥伝社)大竹 昭子
生を燃焼させる魔力に魅入られ戦争写真が人々の目に触れるようになったのはスペイン内戦からである。新進のグラフ誌が写真を掲載し、カメラマンの意…
書評 - 『どうぶつのことば──根源的暴力をこえて』(羽鳥書店)大竹 昭子
現代社会揺さぶるアートの力特異な本である。一言では括(くく)れない。でも、その説明不可能さこそが本書の本質だ。 著者は動物をモチーフにした…
書評 - 『日々の光』(新潮社)大竹 昭子
肌の色や宗教を越えた“母と子”書き方のスタイルはオーソドックスだし、「母探し」というテーマも新しいものではないが、母と子に血のつながりがなく…
書評 - 『くりかえすけど』(幻戯書房)大竹 昭子
しなやかさと頑迷さが混交するエッセイと小説の違いはどこだろう。一つは現実からの離陸度ではなかろうか。 本書は田中小実昌の単著未収録の10作品…
書評 - 『写真幻想』(平凡社)大竹 昭子
無意識写す「道具による文学」「写真は文学にもっとも近い芸術なのです。」という帯の引用文にえっ!と驚く人が多いのではないか。写真と文学はむし…
書評 - 『陸前高田 2011‐2014』(河出書房新社)大竹 昭子
受容の意志の厳かさ、美しさ「僕には、自分の記憶を助けるために写真を撮るという習慣がない」。かつて畠山直哉はこのように書いた。写真を撮ること…
書評 - 『ひかり埃のきみ: 美術と回文』(平凡社)大竹 昭子
くり返し闇となり光となる言葉子どもは誰も本好きだ。物体としての本を、そこで繰り広げられるお話を愛して止まないが、成長するにつれて内容を読解…
書評 - 『わたしの土地から大地へ』(河出書房新社)大竹 昭子
都市と異なる視座、問いかけサルガドの写真がすごいのはわかる。ブラジルの金鉱掘り、ルワンダの難民、大規模製造業の手仕事、自然保護区の生態系。…
書評 - 『三の隣は五号室』(中央公論新社)大竹 昭子
半世紀の暮らし刻む部屋が主役間取り好きには堪(こた)えられない小説である。舞台は東京近郊のさして特徴のない町に立つ木造アパート。部屋は二間…
書評 - 『光の子ども 1』(リトル・モア)大竹 昭子
[isbn:4898154328]放射能発見の歓喜と現代の恐怖科学の研究にはのちにとんでもない結果を招くものが少なくないが、その最たるものは放射能だろう。…
書評 - 『地平線』(水声社)大竹 昭子
何者でもなかった頃の懐かしさこんなことを言うとミステリー好きに怒られそうだが、ミステリーは事件が解決にむかうと退屈になる。謎こそが魅力なの…
書評 - 『元気で大きいアメリカの赤ちゃん』(文藝春秋)大竹 昭子
現実をヒントに現実を超えるアメリカの女性作家ジュディ・バドニッツは奇妙な作品を書く人だ。短編集では2冊目の邦訳となる本書も、現実ではありえ…
書評 - 『模範郷』(集英社)大竹 昭子
恐れ超え、記憶の場に踏み込むリービ英雄の最初の小説「星条旗の聞こえない部屋」が発表されたのは一九八七年。英語で生まれ育ったアメリカ人が日本…
書評 - 『センチメンタルな旅』(河出書房新社)大竹 昭子
「嘘」なく心の震え留めたいつもはアジアの古美術展が多いパリのギメ東洋美術館で、荒木経惟の写真展が9月5日まで開催中だ(ALL REVIEWS事務局注:…
書評 - 『魔法の夜』(白水社)大竹 昭子
昼間の自分を解き放つ月の光ミルハウザーは月光の作家だ。陽光ではなく。夜中に屋根を散歩する『三つの小さな王国』のワンシーンは好例だが、人々の…
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