フランスで評価が高久、前記『華麗なる大泥棒』がジャン=ポール・ベルモンド主演で映画化されたほか、フランソワ・トリュフォーにより『Shoot the Piano Player』)『ピアニストを撃て!』)が、ルネ・クレマンにより『Black Friday』(「狼は天使の匂い」)が映画化されている。本人も四〇年代後半からハリウッドで脚本家として活躍していた。
グーディス作品を読むと、「夜」の場面が非常に多いことに気づく。それも都市の闇だ――『Black Friday』の冒頭では主人公が夜の町で決死の逃走を展開し、〈深夜特捜隊〉なる謎の警官集団に巻き込まれる元刑事の苦闘を描く『深夜特捜隊』では、文字通り夜になると〈特捜隊〉が動き出す。『Shoot the Piano Player』は「通りに街灯はなく、光は何一つなかった」という一行で幕を開ける。『深夜特捜隊』で闇夜に閃く銃火と跳弾の火花はおそろしく鮮烈だし、『Black Friday』で追いつめられた男が逃げ回る夜の街路は、まるで影のつくり出す迷宮のように映る。