コラム
磯田 道史「2025年 この3冊」毎日新聞|<1>松木 武彦『古墳時代の歴史』(講談社) <2>笠谷 和比古『論争 大坂の陣』(新潮社) <3>関 幸彦『<幕府>の発見』(講談社)
2025年「この3冊」
<1>松木 武彦『古墳時代の歴史』(講談社)
<2>笠谷 和比古『論争 大坂の陣』(新潮社)
<3>関 幸彦『<幕府>の発見』(講談社)
<1>はトップ考古学者の遺著。最新発掘成果による古墳時代の編年史。古墳出現地はヤマトより東とみる。後漢が滅亡、ヤマトが北部九州を介さず魏と直接接触、親魏倭王が誕生。ヤマトの門閥氏族はキビ(吉備)に分派後、さらに二分。四世紀後半、武器を革新したカハチ(河内)の二大門閥が登場。各地の氏族が男系の大氏族に再編された。古墳考古の重要文献だ。
<2>は豊臣徳川の権力移行を説く。征夷大将軍は唯一の天下人ではない。徳川の天下は家康の将軍就任でも秀忠の将軍継承でも不安定。豊臣秀頼が関白に就任、軍事関白制の天下人が生まれる可能性があった。
<3>は近代史学の舞台裏を明かした一冊。日本史を西洋史の封建制の枠組みにしたい学者が「幕府」用語の利用を思いついたとする。
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