書評
『ルーフォック・オルメスの冒険』(東京創元社)
カミは一九二〇年代のフランスのナンセンス作家である。わが国では雑誌「新青年」によって紹介され、人気を誇った。『エッフェル塔の潜水夫』も有名だが、ミステリ・ファンにとってはルーフォック・オルメス(もちろんシャーロック・ホームズのパロディ)の活躍を描く『名探偵オルメス』の作者として語られなければならない。屋根へ上りたがる夢遊病者ばかりの強盗団対催眠術にかけられた男の対決を描く『催眠術合戦』、両手首のない男が高利貸しから平手打ちされ、その無念をはらすため手袋屋の巨大な看板で高利貸しを引っぱたき殺す『一メートルニセンチの掌』など奇想天外なお話が一杯、ただし、いま読むと古めかしさは否めない。(事務局注:この書評は『名探偵オルメス』(芸術社・三谷正太訳・絶版)に対するものです)
【この書評が収録されている書籍】
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