書評

『100回泣くこと』(小学館)

  • 2018/01/22
100回泣くこと  / 中村 航
100回泣くこと
  • 著者:中村 航
  • 出版社:小学館
  • 装丁:文庫(208ページ)
  • 発売日:2007-11-06
  • ISBN:4094082190
内容紹介:
実家で飼っていた愛犬・ブックが死にそうだ、という連絡を受けた僕は、彼女から「バイクで帰ってあげなよ」といわれる。ブックは、僕の2ストのバイクが吐き出すエンジン音が何より大好きだった。四年近く乗っていなかったバイク。彼女と一緒にキャブレターを分解し、そこで、僕は彼女に「結婚しよう」と告げる。彼女は、一年間(結婚の)練習をしよう、といってくれた。愛犬も一命を取り留めた。ブックの回復→バイク修理→プロポーズ。幸せの連続線はどこまでも続くんだ、と思っていた。ずっとずっと続くんだと思っていた-。
実家の犬、ブックが死にそうだと連絡を受けた時、彼女は「バイクで帰ってあげなよ」と言った。ブックがエンジン音が大好きだと知っていたからだ。僕はバイクを修理しながら、彼女にプロポーズする。やがてブックは回復、僕と彼女の幸せな日々も続くはずだった……。

愛するものを永遠に失うという、普遍的なテーマを描いた作品。05年刊行の単行本も10万部を超すロングセラーに。その際のメーン読者は若い女性だった。それが昨年11月に文庫化してからは幅広い層、特にビジネスマンたちに読まれている。

その理由のひとつが、オビ。6月に行った「雨の日に読みたい本」フェアのラインアップに加えた際、人気歌手グループ、ゴスペラーズの北山陽一さんの「うっかり新幹線で読んで号泣しました。透明な世界をあなたにも。」というコメントを載せた。すると「各店舗で品切れになる勢いに。さらに販売に力を入れたところ、ターミナル駅構内の書店での売り上げが驚くほど伸びました」とマーケティング局の広幡文子さん。どうやら移動中のビジネスマンたちが“新幹線”という文字に反応している様子。一目で切ない内容だと分かるコメントやタイトルも、短い時間で本を選ぶ客の目に留まりやすい。

ただし著者は悲しい出来事を扇情的に綴(つづ)ったりしない。「泣かせようという意図はまったくありません。そうした出来事の後に、人は何をどう感じ、どんな言葉を放つのか、それを真剣に考えて書かれた作品」と、担当編集者の石川和男さん。だからこそ、心が震えるような体験を味わえる。読後いつまでも、胸に残るものがあるのだ。
100回泣くこと  / 中村 航
100回泣くこと
  • 著者:中村 航
  • 出版社:小学館
  • 装丁:文庫(208ページ)
  • 発売日:2007-11-06
  • ISBN:4094082190
内容紹介:
実家で飼っていた愛犬・ブックが死にそうだ、という連絡を受けた僕は、彼女から「バイクで帰ってあげなよ」といわれる。ブックは、僕の2ストのバイクが吐き出すエンジン音が何より大好きだった。四年近く乗っていなかったバイク。彼女と一緒にキャブレターを分解し、そこで、僕は彼女に「結婚しよう」と告げる。彼女は、一年間(結婚の)練習をしよう、といってくれた。愛犬も一命を取り留めた。ブックの回復→バイク修理→プロポーズ。幸せの連続線はどこまでも続くんだ、と思っていた。ずっとずっと続くんだと思っていた-。

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2008年11月30日

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