書評
『幕末史』(新潮社)
幕末の有名人というと篤姫や坂本龍馬、西郷隆盛ら、出来事というと日米和親条約や大政奉還などが浮かぶ。一人一人、ひとつひとつは説明できても相関関係を把握するのは結構大変。そんな一連の流れを分かりやすく語る入門書的な一冊がこちら。扱うのはペリー来航から西南戦争後までの25年間だ。
著者は『昭和史』『昭和史 戦後篇(へん)』(ともに平凡社刊)などのベストセラーを持つ。昨年12月の刊行後すぐに重版がかかり、以降好調をキープ。「歴史の語り部としての半藤さんの、信頼の高さを再認識しました」と担当編集者の笠井麻衣さん。
社会人向けの講義をまとめたもので、語り口調は親しみにあふれている。特徴は薩長を絶対的正義としない姿勢。笠井さんいわく「反薩長というより、公正に見ようとされている。残っている文献は勝った側から見たものが多いのですが、いろんな資料にあたって、視点が偏らないように気を配っていらっしゃいました」。当時の「皇国」に対する認識のズレ、国家づくりの際のグダグダなどが生々しく、人間臭く語られる。人物のキャラクターがよく分かるのも印象的で「歴史を作るのは人だから、ちゃんと人となりを伝えよう、と意識されていました」。
読者は30〜40代がメーン、続いて50代以上、男性が多い。宣伝部の町井孝さんによると「会津や長州、長岡といった地域の書店での反応がいい。“官軍”側も“賊軍”側も、読んでくださっているようです(笑い)」。
編集部には歴史ファンから細かな質問を記した手紙が届く。知識欲をかき立てる本書、歴史にうとい読み手にも、史実を知る面白さを教えてくれている。
著者は『昭和史』『昭和史 戦後篇(へん)』(ともに平凡社刊)などのベストセラーを持つ。昨年12月の刊行後すぐに重版がかかり、以降好調をキープ。「歴史の語り部としての半藤さんの、信頼の高さを再認識しました」と担当編集者の笠井麻衣さん。
社会人向けの講義をまとめたもので、語り口調は親しみにあふれている。特徴は薩長を絶対的正義としない姿勢。笠井さんいわく「反薩長というより、公正に見ようとされている。残っている文献は勝った側から見たものが多いのですが、いろんな資料にあたって、視点が偏らないように気を配っていらっしゃいました」。当時の「皇国」に対する認識のズレ、国家づくりの際のグダグダなどが生々しく、人間臭く語られる。人物のキャラクターがよく分かるのも印象的で「歴史を作るのは人だから、ちゃんと人となりを伝えよう、と意識されていました」。
読者は30〜40代がメーン、続いて50代以上、男性が多い。宣伝部の町井孝さんによると「会津や長州、長岡といった地域の書店での反応がいい。“官軍”側も“賊軍”側も、読んでくださっているようです(笑い)」。
編集部には歴史ファンから細かな質問を記した手紙が届く。知識欲をかき立てる本書、歴史にうとい読み手にも、史実を知る面白さを教えてくれている。
朝日新聞 2009年2月15日
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