書評

『鉄道デザインの心 世にないものをつくる闘い』(日経BP社)

  • 2018/05/23
鉄道デザインの心 世にないものをつくる闘い / 水戸岡 鋭治
鉄道デザインの心 世にないものをつくる闘い
  • 著者:水戸岡 鋭治
  • 出版社:日経BP社
  • 装丁:単行本(226ページ)
  • 発売日:2015-06-23
  • ISBN:4822275418
内容紹介:
水戸岡氏が「ななつ星」をはじめ、過去のプロジェクトの要点を振り返り、ものづくりに本当に必要なものは何かを、次世代に伝える。

効率より空間と時間にこだわる

水戸岡鋭治さんは鉄道のデザイナーとして有名だが、全国の鉄道に乗っているわけではない。京浜工業地帯を走るJR鶴見線に同乗したときには、首都圏にもこんな線があるのかと驚かれ、運河や工場の夜景を眺められる車両をわざとゆっくり走らせるなどの案を次々に披瀝(ひれき)された。

本書を読むと、水戸岡さんが現在の鉄道業界にあっていかに孤高の存在であるかがよくわかる。ブルートレインの全廃に象徴されるように、鉄道のサービスが速さと効率に集約される風潮に敢然と異を唱え、鉄道の車内で過ごす固有の空間と時間にこれほどこだわるデザイナーはほかにいない。このデザイナーに全幅の信頼を置くJR九州の度量の広さも称賛に値しよう。

かつて九州の薩摩や肥前などの西南雄藩は、江戸幕府を倒して明治維新を起こした。水戸岡さんが九州を舞台に起こした「革命」が、いつの日にか日本の鉄道全体へと波及してゆくことを、本書を読みながら夢想した。
鉄道デザインの心 世にないものをつくる闘い / 水戸岡 鋭治
鉄道デザインの心 世にないものをつくる闘い
  • 著者:水戸岡 鋭治
  • 出版社:日経BP社
  • 装丁:単行本(226ページ)
  • 発売日:2015-06-23
  • ISBN:4822275418
内容紹介:
水戸岡氏が「ななつ星」をはじめ、過去のプロジェクトの要点を振り返り、ものづくりに本当に必要なものは何かを、次世代に伝える。

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2015年9月13日

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