書評
『西洋の夢幻能―イェイツとパウンド』(河出書房新社)
エズラ・パウンドやアーサー・ウェーリーの英訳を通して能を知った著者は、その美しい世界に魅了され、以来、西洋文学における能の影響というテーマについて研究を重ねてきた、本書は十五年にわたる探究の結晶である。
西洋では十九世紀末から能の紹介が始まったが、やがてこの新しい様式を取り入れた演劇が登場した。著者はイェイツとパウンドという二人の作家に焦点を当て、彼らがどのように能の表現技法を理解し、かつ劇創作に生かしたかについて、個々の作品に即して詳細に検証した。その結果、夢幻能という演劇表象がかつて西欧文学者たちの想像力を大きく刺激した事実が明らかになった。
近代日本は一方的に西洋文学の影響を受けるのではなく、西欧作家たちもまた日本文学から多くの養分を吸収した、そのことに興味を持ち、かつ学問研究として結実させたのは、韓国語を母国語とした元留学生である。国境を越える研究テーマの成果が、越境した研究者によってまとめられたのはまことに興味深い。
【この書評が収録されている書籍】
西洋では十九世紀末から能の紹介が始まったが、やがてこの新しい様式を取り入れた演劇が登場した。著者はイェイツとパウンドという二人の作家に焦点を当て、彼らがどのように能の表現技法を理解し、かつ劇創作に生かしたかについて、個々の作品に即して詳細に検証した。その結果、夢幻能という演劇表象がかつて西欧文学者たちの想像力を大きく刺激した事実が明らかになった。
近代日本は一方的に西洋文学の影響を受けるのではなく、西欧作家たちもまた日本文学から多くの養分を吸収した、そのことに興味を持ち、かつ学問研究として結実させたのは、韓国語を母国語とした元留学生である。国境を越える研究テーマの成果が、越境した研究者によってまとめられたのはまことに興味深い。
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